正統派の江戸前握り 繁乃鮨

2011年10月【第12号】
  • 江戸前寿司の伝統である赤酢を使ったシャリで握る繁乃鮨。青磁のお皿を美しく彩る「にぎり・上」2,000円。昼夜問わずいただくことができる

  • 上/二代目店主とともに三代目が切り盛りするつけ場。「江戸前の握りは鮪が主役。鮪には気を使っていますよ。鮪がないと肉屋に肉がないのと同じだからね」と佐久間さん。
    下/席スペースも十分にとられた 広々としたカウンター、落ち着いた雰囲気のテーブル席。

老舗名店が軒を連ねる日本橋・むろまち小路にある「繁乃鮨」。明治初期に日本橋魚河岸*に店を開いた魚卸商「高根屋」が前身だ。目利きの魚屋だった高根屋は、宮内庁御用達を拝命し神事用の魚を納めていた。高根屋の廃業後、系譜を継ぐ初代がはじめた繁乃鮨が、今でも毎日宮内庁へ届けているとか。

 毎日河岸に出向き仕入れる最高の素材を丁寧に仕込んだ寿司種の江戸前握り。それをお手頃な価格で味わえるのが「にぎり・上」だ。江戸前の主役である鮪は赤身とトロを、そして季節の白身、ホロリとろける煮穴子、酢でキュッと締めたコハダ、サクッとした歯ごたえのイカなど7貫に巻き物がプラス。少し物足りなければ、ネタ9貫に巻き物の1.5人前という品書きも用意されている。

 歴史と伝統のある繁乃鮨だが、落ち着いた設えでまとめられた店内は、居心地のよい雰囲気が漂っている。広々としたつけ場に立つ店主や職人さんの温かい笑顔や気遣いに、女性の〝おひとり様〟が多いというのも頷ける。二代目・佐久間司郎さんは「昼は、男女ともひとりで来店される方も多いです。もちろんグループでもテーブル席や個室があるのでゆっくりしていただけますよ」と話す。

 「10月は、脂が乗ってくるカンパチなどの白身、マグロはもちろん戻りカツオもいい。晩秋のコハダは濃厚なうまみ、と美味しい季節です」と佐久間さん。食欲の秋、正統派の江戸前握りがもたらす口福をご賞味あれ。

*江戸初期、幕府に上納する鮮魚の残りを日本橋のたもとで販売したことからはじまった日本橋魚河岸。江戸や東京の台所であった魚河岸は、関東大震災により築地に移転

DATA
店名 繁乃鮨 (しげのずし)
住所 東京都中央区日本橋本町1-4-13
03-3241-3586
営業時間 11:00~13:30、17:00~21:00 土・日曜・祝日休
URL http://www.shigenozushi.tokyo/

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