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木屋(きや)

進取の気象に富んだ江戸っ子気質

寛政4年(1792年)、初代・加藤伊助は本家「木屋」から暖簾分けを許され、日本橋室町に刃物の「木屋」を構える。漆器を扱う本家やほかの分家と異なる商いをするのが木屋の掟。そこで周辺の魚河岸や材木問屋へ通う料理人や大工が多い土地柄に目をつけた伊助は、自身も包丁の町・桑名の出身ということもあり、大工道具や包丁を扱う商いをはじめたとされている。

全国各地の主要産地を巡り、大工道具は播州(兵庫)、包丁は堺(大阪)などから名品を仕入れて卸す商売は、確かな目利きと誠実な商いで大いに繁盛する。さらに幕末には、ヨーロッパから包丁や鋏をいち早く輸入するなど、進取の気象に富んだ江戸っ子気質を発揮。国内はもちろん海外の素材や技術にも高い関心を示して、刃物の技術向上へと取り組んでいく。

1,000種類以上を扱う木屋の包丁には、江戸の食文化から生まれた包丁もあるという。正月ののし餅を切りやすくするためにアゴ(刃元の先端)を丸くした「菜切り包丁」、鮪を好んだ江戸っ子ゆえにきれいに鮪をサク取りできるように刃先を四角にした「刺身包丁」、どちらも江戸ならではの包丁だ。

創業から200余年、いつの世も本物の切れ味を求めて人々は木屋を訪れる。

店舗情報

店名木屋(きや)
住所東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1 1階
TEL03-3241-0110
Webサイトhttps://www.kiya-hamono.co.jp/

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。

日本橋ごよみ2011年09月【第11号】