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竺仙(ちくせん)

浴衣スタイルを一新させた先駆者

江戸小紋や浴衣を扱う「竺仙」は、天保13年(1842年)の創業だ。俳句を嗜んだ趣味人の初代・仙之助は、文人墨客たちと交流するなかで、彼らや歌舞伎役者に着せる型染の衣装を考案する。役者たちが着こなすシンプルで粋な小紋柄の浴衣は、またたく間に江戸っ子の話題を集め、人々は竺仙の浴衣を買い求めたという。

武家の裃(かみしも)に描いた模様が発祥とされる小紋。そんなフォーマルで上品な柄に加えて、庶民が好む花や野菜、虫や鳥などの身近なものも柄に取り入れた竺仙。そうしたアイデアや染め技法は、浴衣スタイルを一新させる。

もともと湯浴み着の浴衣、それゆえ無地が主流だったが、多彩な小紋柄を染め抜いたことで洒落た外出着へと変貌を遂げた。竺仙が手掛けた新たな浴衣スタイルは、江戸はもちろん、京や大坂にも広がっていく。

毎年1,000種類もの新作を発表する竺仙。歴史ある柄に時代の意匠を交錯させて、新たな浴衣を生みだし続けている。江戸の夏と同じく今年も、新作を着こなした浴衣美人が街を涼しげに彩っているはずだ。

店舗情報

店名竺仙(ちくせん)
住所東京都中央区日本橋小舟町2-3
TEL0120-558-529
Webサイトhttps://www.chikusen.co.jp/

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。

日本橋ごよみ2011年08月【第10号】