買う

伊場仙

江戸団扇と絵師の持ち味を心得た浮世絵団扇

徳川家康とともに江戸に上った、浜松商人・伊場屋勘左衛門が興した「伊場仙」。勘左衛門の生まれ年である天正18年(1590年)を創業年とし、屋号は出身地である浜松・伊場町に由来する。

現在は、団扇や扇子、和雑貨を扱う伊場仙だが、創業当初は籠やつづらなどに使用する竹材や和紙を将軍家に納めていた。その材を使って、江戸中期には団扇を手掛けるようになる。さらに初代・歌川豊国、歌川国芳、歌川広重など名だたる絵師の版元になり、浮世絵を団扇に刷り込むことを考案。

歌舞伎の演目は役者画の上手い国芳に、日本各地の名所は風景画名手の広重に、色艶ある美人画ならば豊国に、と絵師の持ち味を心得たプロデュース力で伊場仙の「浮世絵団扇」は江戸市中に広まっていく。さて日本橋で生まれた団扇は、江戸団扇と呼ばれ、持ち手や骨もすべて1本の竹を割いて作られている。大量生産するために考え抜かれた仕様であり、その形状もわずかな力で風を起こしやすい横長の楕円形だった。

江戸時代は、涼をとり、炊事や虫追い、また装いにもあしらわれていた団扇。暮らしを見直すべき時代、江戸にならって粋な団扇を手に入れようか。

店舗情報

店名伊場仙(いばせん)
住所東京都中央区日本橋小舟町4-1
TEL03-3664-9261
Webサイトhttps://www.ibasen.co.jp/

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。

日本橋ごよみ2011年07月【第9号】