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人形町志乃多寿司總本店

日常のおやつから特別な日の贈り物まで、ぜひ手にしてほしい、味わってほしい手みやげをご紹介する「日本橋 手みやげ」。今月は、創業130年あまりの人形町志乃多寿司總本店から、この時期にぴったりのお寿司をご紹介。

甘酒横丁の中ほどにある人形町志乃多寿司總本店は、1877年(明治10年)に屋台として始まり、その後、現在の地に店を構えた。歌舞伎の人情話「葛の葉子別れ」の場面に登場する古歌、“恋しくば尋ねてきてみよ和泉なる 信田(しのだ)の森のうらみ葛の葉”にちなんで、店の名をつけたという。

名物のいなり寿司は、創業当時からの変わらぬ味。「うちは甘辛く濃い味つけなので、味がほどよく浸みるように特別に薄いお揚げを使っています」と五代目当主の吉益敬容さん。油抜きをした揚げを醤油と砂糖、みりんで煮て、冷蔵庫で3~4日寝かせ、さらにもう一度味を含ませる。もうひとつの人気商品であるかんぴょう巻きも、かんぴょうに味をつけた後に数日置いてから使っている。「寝かせることで調味料が素材と馴染み、味が丸くなるんです」

店頭のショーケースには通年商品の折り詰めがずらりと並ぶ。店には「今日はこれを食べたい」と決めて訪れるお客さまが多いという。そのほか季節の食材を使った押し寿司などもお目見えする。この時期のおすすめは、彩り豊かな『ひなちらし』。手間暇かけられた具材が織り成すハーモニーは絶妙だ。春の行楽には『黄菊詰め合わせ』はいかがだろう。美しい黄金色の茶巾寿司『黄菊』に、名代のいなり寿司、かんぴょう巻きという顔ぶれ。世代を超えて喜ばれる深い味わいだ。

店舗情報

店名人形町志乃多寿司總本店
住所東京都中央区日本橋人形町2-10-10
TEL03-5614-9300
Webサイトhttp://www.shinodazushi.co.jp

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。

日本橋ごよみ2015年03月【第53号】