明治期から受け継がれる伝統のすき焼き
明治2年(1872年)の創業から140年以上にわたり当時の味を守り続けている伊勢重。都内に現存するすき焼き専門店として最も古い歴史を持つ。

伊勢重ならではの美味しさは三つの要素から生まれている。一つ目は昔ながらの炭火を使っていること。二つ目は昔と変わらずに肉を包丁で手切りしていること。肉目を見ながら切り分けるため、いちばん柔らかく美味しい状態が引き出せるという。三つ目は秘伝の割り下だ。甘さを控えてさっぱりと仕上げており、肉のうま味を引き立てる。「炭火は途中で火加減を調整できません。もちろん割り下や出汁で味を調整しますが、最初からしっかりした味だと最後に濃くなって食べ疲れてしまいます。そこで、うちでは昔からこの味なんです」と六代目店主の宮本重樹さん。
牛肉の呼び名も独特だ。店では古くから“生肉(なま)”と呼んできた。1生は75gほど、一人前が2生で150gほどになる。「頑固に守り続けてきたというより、ただ変わらずにやってきただけなんですよ」と宮本さんは笑う。
寒い夜に気の合う仲間と囲む鍋は格別。風情と落ち着きのある座敷で、細部まで心配りされたすき焼きをじっくりと味わいたい。
ギャラリー





店舗情報
店名 | 伊勢重 |
住所 | 東京都中央区日本橋小伝馬町14-9 |
TEL | 03-3663-7841 |
Webサイト | https://www.iseju.com/ |
※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。
日本橋ごよみ2017年01月【第75号】