名物軍鶏をさっぱりと焼しゃぶで
創業宝暦10年(1760年)の玉ひでは、一子相伝で秘伝の味を受け継いできた軍鶏料理の専門店。今号では、8月20日に提供開始する新メニュー『焼しゃぶ』がついたコース料理をご紹介。

250年余りの歴史を持つ玉ひでは、江戸時代、将軍家の御鷹匠(おたかしょう)をつとめていた山田鐵右衞門(てつえもん)が人形町に創業した店。当初は屋号を「玉鐵(たまてつ)」としていたが、明治30年(1897年)頃、五代目秀吉の名前に由来して、お客さまから「玉鐵の秀さんの店」と呼ばれるようになり、現在の屋号が生まれたのだという。
名物は、五代目女将が考案した親子丼。親子煮を食べやすくするためにご飯にのせて、一品料理としたのが始まり。出前のみで販売していたところ、忙しい兜町や日本橋の魚河岸の人々の間で瞬く間に人気となった。
今回ご紹介するのは、この親子丼を含むコース料理『粋』。鳥料理として、今夏誕生した新メニュー『焼しゃぶ』は、軍鶏の胸肉やもも肉を専用鍋でさっと焼く。脂が落ち、さっぱりといただけるので、残暑が厳しいこの時期にも嬉しい。「うちで使っている東京しゃもは、昭和50年代に東京都と開発した軍鶏です。玉ひでの料理に合うよう、先代が餌の選択から開発に携わりました」(八代目 山田耕之亮さん)。
割下に使っているのは宝酒造の『本格米焼酎仕込みりん』とヒゲタ醤油の『本膳』。いずれも商品誕生と同時に玉ひでが使い始めたことで知られている。「素材も調味料も吟味しています。できるだけシンプルな味で軍鶏を楽しんでいただきたいと思っています」。
長い歴史の中で、作家や落語家など多くの文化人に愛されてきた玉ひで。江戸の味を存分に楽しみたい。
ギャラリー




店舗情報
店名 | 玉ひで |
住所 | 東京都中央区日本橋人形町1-17-10 |
TEL | 03-3668-7651 |
※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。
日本橋ごよみ2015年09月【第59号】