昭和の香り漂う店で、心が和む洋食を
江戸桜通り沿いにあるレストラン桂は、どこか懐かしい雰囲気の空間で、正統派の洋食が気軽に楽しめる店。今回は、創業当時からの人気メニューと満足感たっぷりのセット料理をご紹介。
1963年(昭和38年)創業のレストラン桂は、室町界隈の人々に愛され続けている洋食店だ。昼も夜も、近隣で働くオフィスワーカーや買い物客などで賑わう。この道60年あまり、現在83歳になるオーナーシェフの手塚正昭さんが、ご家族やスタッフとともに店を切り盛りしている。

初代の徳太郎氏が富山県から出てきたのは明治のこと。当時、世の中では牛鍋が流行っていたが、非常に高価だったことから、庶民でも楽しめる味を提供したいと鶏すき屋を始めたのだという。終戦後、焼き鳥やチキンカツ、鰻などがメニューに加わった。
高度成長期になると、この界隈には多数の証券会社が立ち並び、お昼どきにはたくさんの証券マンたちが時間を惜しんで食事をする姿が見られた。「その頃の証券取引所は手作業でやりとりしていて、人がひしめき合う満員電車のような雰囲気。重労働だったんですね。とにかくみなさん、たくさん召し上がりましたよ」と、四代目の鍋島孝太郎さんは話す。
そこで、少しでも鋭気を養ってもらおうと考案したのが3種類のお弁当だ。長年愛されてきたメニューのうち、とりわけ人気が高いのが『特製B弁当』。一段目に焼き鳥3本(ひな肉、もつ焼き、つくね)と一口チキンカツ2切れ、玉子焼きが入り、二段目にはご飯がぎっしり詰まっている。「さっと食べられるよう、串に刺した焼き鳥と一口カツにしたんです」。仕事でよいことがあると、これらのおかずに鰻の蒲焼きを加えた『特製C弁当』を頼む常連客もいるという。
鶏肉の鮮度は折り紙つき。良質なタンパク質をたっぷり含んだ鶏料理でスタミナをつければ、午後からの仕事もはかどること間違いなしだ。
ギャラリー




店舗情報
店名 | レストラン桂(かつら) |
住所 | 東京都中央区日本橋室町1-13-7 |
TEL | 03-3241-4922 |
※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。
日本橋ごよみ2015年03月【第53号】