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伊勢重

伝統のすき焼きを気軽な小鍋で味わう

日本橋小伝馬町にある和牛すき焼きの店 伊勢重は、明治2年(1869年)創業の老舗。最上級の黒毛和牛を秘伝の割下とともに堪能できる。お座敷席でいただくちょっと贅沢なランチをご紹介。

入口を抜けて靴を脱ぎ、絨毯敷の階段を下りていくと、そこには襖で隔てられた座敷が並んでいる。1869年に誕生した同店は、都内で現存するすき焼き店として、最も歴史の長い店だ。静かな佇まいはしばし街の喧噪を忘れさせ、ゆったりとした心持ちにさせてくれる。

問屋街に位置することから、かつては企業の接待のお客さまが多かったが、いまでは個人で食事を楽しむ人も増えている。夜と同じ上質な黒毛和牛を、手頃な価格で楽しめるとあって、一人で訪れるオフィスワーカーもいるという。  吟味されたお肉はすべて手切り。面に合わせて切ることで、より柔らかな食感が生まれる。創業時から受け継がれてきた割下は、甘さ控えめですっきりとした濃い口。伊勢重の味わいの決め手となっている。

ランチメニューの中で特におすすめなのが、『すき焼き 小鍋仕立て』だ。「昔からすき焼きを卵でとじたものを“あをり”と呼んでいました。うちでもご要望があるとお出ししていたんです」と社長の宮本重樹氏。店ではテーブルに炭火を運んですき焼きを調理するが、こちらは既に味つけした状態で提供される。具はすき焼きと同じで、お肉、長葱、焼き豆腐、白滝、春菊など。お味噌汁とご飯、食前酒などのほかに、伊勢重自慢の牛佃煮も付く。また、牛ヒレカツや牛ヒレステーキ重のセット、リーズナブルな5種類のお弁当もある。

いつか夜に訪れたい憧れの名店。まずはランチで足を運んでみるのはいかがだろう。

店舗情報

店名伊勢重
住所東京都中央区日本橋
小伝馬町14-9
TEL03-3663-7841
Webサイトhttps://www.iseju.com/

日本橋ごよみ2014年03月【第41号】