食べる

日本橋のうなぎ

江戸の食で元気な夏を

高嶋家(たかしまや)

ラストエンペラーの弟・溥傑(ふけつ)も愛した伝統の味

明治8年(1875年)創業の高嶋家。130年もの間、代々受け継いできたタレはすっきりと辛口で、備長炭で焼いた鰻の味を引き立てる。蒲焼きに合うよう、ご飯はお米マイスターが選んだ栃木産“夢ごこち”を使用。冷めてもふっくらと柔らかく、お土産にしても美味しい。きゅっと漬かったお新香も蒲焼きに合い美味。通常より長い時間をかけて育てた“共水うなぎ”を用いた『鰻重箱(菊)』(4,300円)は、通ごのみの味だ。

店舗情報

店名高嶋家(たかしまや)
住所東京都中央区日本橋小舟町11-5
TEL03-3661-5909
Webサイトhttps://www.takashimaya.info/
上/『鰻重箱(梅)』(お新香付)3,300円と『お吸物』(肝入り)400円。『鰻重箱』は2,300円からある。鰻は主に九州産を使用している。
左下/1階は椅子席と小上がり、2・3階はお座敷。店内には贔屓客だった愛新覚羅溥傑から贈られた書も。総席数57席。
右下/「ぜひ江戸前の鰻を食べにいらしてください」と五代目の鴛尾明氏。

美國屋(みくにや)

出来たて熱々の美味しさを大切に 

明治中期、初代が美國屋の前身となる料理屋・鳥藤を墨田区本所で創業。昭和21年(1946年)、二代目が現在の地に店を移転し、鰻専門店の美國屋が誕生した。毎朝、厳選した国産最高級鰻を仕入れ、一子相伝で受け継いできたさっぱりとしたタレで仕上げている。お米は宮城産“ササニシキ”と栃木産“コシヒカリ”を独自にブレンドし、毎日、自家精米を行う。料理の温度に気を配り、吸物や鰻はもちろんのこと、ご飯まで熱々なのが嬉しい。

店舗情報

店名美國屋(みくにや)
住所東京都中央区日本橋2-5-1 日本橋髙島屋三井ビル1階
TEL03-3271-3928
Webサイトunagi3928.com
上/『うな重』(肝吸い、お新香付)2,900円。限定20食の『うな丼セット』(肝吸、お新香付)2,000円もおすすめ。
左下/1、2階は椅子席、3階はお座敷。壁には当主の趣味である音楽をモチーフにした作品が並ぶ。総席数45席。
右下/四代目の森下俊之氏。先代から受け継いだ言葉「美味しい鰻をできるだけ安く」が店のモットー。

亀とみ(かめとみ)

昼も夜も訪れたい風情のある店

アットホームな佇まいの亀とみは、明治17年(1884年)創業。守り抜いてきたタレは甘味が控えめでコク豊か。鰻は鹿児島産をメインに良質な国産鰻を使用している。すっぽん料理も提供しており、肝吸いや赤だしにすっぽんエキスを加えることもできる。香りの よい山椒は、京都の七味家本舗から取り寄せたもの。おつまみも充実しているので、夜は人気メニューの焼き鳥でお酒をいただき、江戸前の鰻重で締める、なんていうのもいい。

店舗情報

店名亀とみ(かめとみ)
住所東京都中央区日本橋室町4-1-13
TEL050-5493-0546
Webサイトhttps://g217600.gorp.jp/
上/『うな重』(肝吸い、お新香付)2,900円。限定20食の『うな丼セット』(肝吸、お新香付)2,000円もおすすめ。
左下/落ち着いた雰囲気の店内。1階はテーブル席、2階はお座敷で総席数40席。
右下/六代目の下田豊氏。「香りの強い山椒は、鰻をちょこっとめくったところにかけると、鰻の風味も損なわず美味しいんですよ」。

人形町 梅田(にんぎょうちょう うめだ)

だし醤油で焼き上げた名物・しら焼き丼

人形町 梅田は『しら焼き丼』が評判の店。20年ほど前、常連客に「うな重以外に何かできない?」といわれ編み出したのだとか。藻塩を加えた酒に蒸した鰻を浸し、だし醤油で焼いていく。昆布とかつおのうま味が効いた鰻を、海苔とあさつきをあしらったご飯にのせ、わさびを添えていただく。いくら(400円)や梅まぶし(200円)といったトッピングも可能だ。夏の疲れた胃にも、するすると収まる優しい味わい。

店舗情報

店名人形町 梅田(にんぎょうちょう うめだ)
住所東京都中央区日本橋人形町3-4-2
TEL03-3661-0160
上/『しら焼き丼(特上)』(肝吸い、お新香付)3,800円。鹿児島産の鰻、厳選したお米、香りのよい伊豆産の“赤系”わさびを使用。『うな重』、『しら焼き丼』ともに2,000円から。
左下/炭火の香りが漂う店内。1階、2階ともにテーブル席。
右下/「とにかく本物志向でやっています」と二代目の白石圭吾氏。

日本橋ごよみ2012年08月【第22号】