受け継がれる味と文明開化のこころ
明治2年(1869年)創業以来、一般書籍のほか、充実した学術書や洋書、高級文具などで知られる「丸善」。いまも多くの人々が足を運ぶ日本橋店で、長年愛され続けてきた人気メニューをご紹介。
福澤諭吉の門下として知られる丸善の創業者・早矢仕有的(はやしゆうてき)氏は、文明開化の礼讃者であり、早くから洋食屋によく通ったという。非常に舌の肥えた人物で、料理の味で料理人が変わったことを当てたというエピソードもある。自宅を訪れた友人たちには、牛の細切れ肉と野菜をごった煮にし、白米を添えた料理をふるまった。これが後にハヤシライスと呼ばれ、現在の「早矢仕ライス」へと結びつく。

「もともと医者だった有的が、牛鍋屋の体の弱い息子に、牛鍋の残りの汁に白米を入れて食べさせると滋養がつく、と勧めていたそうです。それをヒントに作られたハヤシライスは、いまでこそご家庭でも作る料理になりましたが、当時はご馳走だったのではないでしょうか」と日本橋店の小方岳人さんは語る。
そんな早矢仕ライスの進化形と言えるのが「プレミアム早矢仕ライス」だ。通常よりも甘さを抑え、具材を増やして、現代の人の口に合うようにまろやかな味に仕上げている。牛肉のコクのある旨味とほのかな酸味が口の中に広がり、いつまでも堪能していたくなる。
「メニューは常に、丸善の歴史を楽しめることと、栄養バランスを重視すること、この2つをテーマに考えています」と小方さんが言うように、早矢仕ライスの探求はまだまだ続く。MARUZEN caféの開店記念日である3月9日からは、さらに進化した「プレミアム早矢仕ライス」が登場するそうなので、その違いもぜひ味わいたい。
ギャラリー



店舗情報
店名 | MARUZEN cafe |
住所 | 東京都中央区日本橋2-3-10 日本橋丸善東急ビル3階 |
TEL | 03-6202-0013 |
Webサイト | https://clea.co.jp/shop/maruzen-café |
※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。
日本橋ごよみ2012年03月【第17号】