食べる

芳味亭

丁寧につくられた洋食を風情のあるお座敷で

日本橋・人形町、賑わう表通りから一本入った閑静な路地裏に佇む洋食の「芳味亭」。昭和8年(1933年)に創業。横浜・老舗ホテルで修業した先代が手掛けていた洋食は、街の人はもちろん柳橋や深川の芸妓衆、明治座で公演をする役者陣、また歌舞伎役者たちから愛されてきた。

作家の向田邦子氏もこの店がご贔屓だったようで、そのエッセイにも店の様子がえがかれている。

15歳から芳味亭で修業をして46年目を迎える料理長・土井三郎氏が「私が店に入った時には、すでに人気メニューだった」と話す、不動の人気ランチが「洋食弁当」。デミグラスソースで煮込んだ柔らかなお肉がたっぷり入ったビーフシチュー、サクッとした衣と濃厚なホワイトクリームが絶妙なカニクリームコロッケ、爽やかな酸味を効かせたポテトサラダなど、シチューに揚げ物にサラダといろんな味が愉しめるお弁当だ。

先代から受け継いだ味を守り続ける芳味亭、ビーフシチューやハンバーグなどの決め手となるデミグラスソースは「1カ月かけて煮込み、何度も濾すことで、なめらかで深いコクとツヤのあるソースに仕上げています。お肉とともにソースもじっくりと味わってほしいですね」と土井さん。丁寧につくられた洋食を風情のあるお座敷でいただく。その味わいと人形町ならではの寛いだ雰囲気は、何度も訪れたくなる余韻を残してくれる。

店舗情報

店名芳味亭(ほうみてい)
住所東京都中央区日本橋人形町2-3-4
TEL03-3666-5687

日本橋ごよみ2011年09月【第11号】