熟練の技が光る揚げたてをお昼に すず航

2013年03月【第29号】
  • ランチ『ゆりコース』(1,260円)。さいまき海老、白しめじ、小玉葱、なす、南瓜、帆立海苔巻き、穴子、スナックえんどうの8品。

  • 左/すべての天ぷらを揚げる鈴木さん。「素材の持ち味をどうやって引き出すか、日々考えています」。一品ごとが真剣勝負だ。
    右/食材と油、衣の関係はデリケート。シンプルな料理だからこそ、きめ細かな技術が要求される。

  • カウンター全8席のほか、掘りごたつの座敷もある。季節ごとの室礼や奥さまが選んだ小倉遊亀作の版画は外国のお客さまにも好評だそう。

  • 清々しい店構え。屋号はご主人の名前から「すず」を、出航や航海から「航」の字をとって名づけた。

茅場町駅からほど近い路地に佇む「すず航」。お昼どきには、近隣のオフィスワーカーで大いに賑わう。揚げたての天ぷらが一品ずついただける、ちょっと嬉しいランチメニューをご紹介。

 美しい塗りのカウンターが印象的な店内。中央では店主の鈴木晴也さんが、丁寧に天ぷらを揚げている。もともと、天ぷらの名店として知られる「天政」で和食全般を担当していた鈴木さん。ある時、「天ぷらを専門に揚げてみないか」という店の勧めで本格的に揚げ始め、その奥深さに魅入られて、2007年に自宅だったこの場所に店を構えた。

 天ぷらは食材に合わせて油の温度や衣のつけ方を微妙に調整していく。例えば水分の多い穴子は、一度衣をつけて油に入れ、途中でさらに衣を流し入れる。すると一瞬、穴子の表面にふわりと衣が広がり、花が咲いたようになる。「この一手間で、さくっとした仕上がりになるんです」。揚げ油は綿実油(めんじつゆ)に胡麻油を加えたもの。衣には全卵を使う店が多い中、こちらでは小麦粉に黄身だけを合わせている。角がとれた、まろやかな味になるからだという。

 白身を省くことで焦げやすくなるため、油の管理に気を配り、お昼だけで4~5回交換する。大根おろしと天つゆ、店で一手間加えた沖縄の塩、レモン汁が一緒に供されるので、素材に合わせて変化を楽しみたい。このほかランチメニューには富山の白味噌を使った出汁の風味が豊かな味噌汁とご飯、自家製の香の物がつく。

 夜はコース料理で、この時季はたらの芽やふきのとうなど香りのよい山菜が並ぶ。大切なお客さまのおもてなしにもぴったりの一軒。仕事でもプライベートでも訪れたい。

DATA
店名 すず航
住所 東京都中央区日本橋茅場町2-1-14
03-3666-3336
営業時間 11:00~13:30、18:00~20:30 土・日曜・祝日休

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