受け継がれる味と文明開化のこころ MARUZEN café

2012年03月【第17号】
  • 「プレミアム早矢仕ライス」1,200円。ベースのソースは煮込んだものを3 日間寝かせ、1週間かけて仕上げるそう。この他に、ふわとろの卵が贅沢な「早矢仕オムライス」1,200円、早矢仕ライスに様々なトッピングがつく「日替わりランチ」1,200円なども人気。平日15:00~と週末には、通常の早矢仕とプレミアムの味が一度に楽しめる「特製早矢仕セット」(生ハムサラダ・檸檬ケーキ・ドリンク付2,000円)も。

  • 「檸檬ケーキ」700円。作中に丸善が登場する梶井基次郎の小説「檸檬」とのコラボスイーツ。中身をくりぬいたレモンの皮に、風味豊かなふわふわのレモンムースが詰まっている。果肉の入った甘酸っぱいホットソースもつくので、絶妙なアクセントを味わって。

  • 解放感に満ちた明るいカウンター席からは、さくら通りが望める。春になると食事をしながら花見を楽しめるという人気スポット。

 明治2年(1869年)創業以来、一般書籍のほか、充実した学術書や洋書、高級文具などで知られる「丸善」。いまも多くの人々が足を運ぶ日本橋店で、長年愛され続けてきた人気メニューをご紹介。

 福澤諭吉の門下として知られる丸善の創業者・早矢仕有的(はやしゆうてき)氏は、文明開化の礼讃者であり、早くから洋食屋によく通ったという。非常に舌の肥えた人物で、料理の味で料理人が変わったことを当てたというエピソードもある。自宅を訪れた友人たちには、牛の細切れ肉と野菜をごった煮にし、白米を添えた料理をふるまった。これが後にハヤシライスと呼ばれ、現在の「早矢仕ライス」へと結びつく。

 「もともと医者だった有的が、牛鍋屋の体の弱い息子に、牛鍋の残りの汁に白米を入れて食べさせると滋養がつく、と勧めていたそうです。それをヒントに作られたハヤシライスは、いまでこそご家庭でも作る料理になりましたが、当時はご馳走だったのではないでしょうか」と日本橋店の小方岳人さんは語る。

 そんな早矢仕ライスの進化形と言えるのが「プレミアム早矢仕ライス」だ。通常よりも甘さを抑え、具材を増やして、現代の人の口に合うようにまろやかな味に仕上げている。牛肉のコクのある旨味とほのかな酸味が口の中に広がり、いつまでも堪能していたくなる。

 「メニューは常に、丸善の歴史を楽しめることと、栄養バランスを重視すること、この2つをテーマに考えています」と小方さんが言うように、早矢仕ライスの探求はまだまだ続く。MARUZEN caféの開店記念日である3月9日からは、さらに進化した「プレミアム早矢仕ライス」が登場するそうなので、その違いもぜひ味わいたい。

DATA
店名 MARUZEN cafe
住所 東京都中央区日本橋2-3-10 日本橋丸善東急ビル3階
03-6202-0013
営業時間 9:30~20:30(L.O.20:10) 無休(元旦除く)
URL http://yushodo.maruzen.co.jp/

※上記は取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。