江戸の伝統技術が息づく美しいつづら 岩井つづら店

2015年05月【第54号】
  • 『掛子付き大』(25,000円)。蓋を開けると上下2段になっており、小物やアクセサリーなど、さまざまな収納に使える。購入後のお手入れもから拭きだけと簡単だ。

  • 左/この道に入って34年という岩井さん。塗りに使うカシュー漆は気温によって硬度が変化するのだとか。熟練の技が光る。
    右/竹かごに小川和紙を貼った後、天井から吊して自然乾燥させる。この後、柿渋の下塗りを行う。店内では毎月1回「つづら屋さんの和雑貨」と題したイベントも開催されている。

  • 『手文庫大』(10,000円)。家紋と名入れは91歳になるお母さまが担当している。黒には朱、朱には黒と、土台の反対色を入れるのがおすすめ。

日常のおやつから特別な日の贈り物まで、ぜひ手にしてほしい、味わってほしい手みやげをご紹介する「日本橋 手みやげ」。今月は、明治初期に創業された岩井つづら店をご紹介。

 甘酒横丁にある岩井つづら店は、昨年夏にリニューアルし、モダンな店構えに生まれ変わった。通りに面したガラス窓からは、網代に編まれた竹かごが見え隠れする。

 つづらの成り立ちは定かではないが、元禄時代(1688~1704年)には江戸の商人が婚礼道具として売り出し、庶民にも親しみやすいものになっていたという。明治から大正にかけての最盛期には、呉服の街として栄えた日本橋の地にも、つづら店が数多く立ち並んでいた。

 関東のつづら製造は昔から分業制をとっており、竹をかごに編むまでは専門の職人が行い、編んだものを店でつづらに仕立てていく。形が崩れないように内側と外側に和紙を貼り、その後、柿渋で下塗りを2回行う。次にカシューの油からつくった漆を塗って、内側に化粧紙を貼る。家紋と名前を入れて完成だ。

「手文庫なら20個前後を5日間の工程で仕上げていきます」と四代目当主の岩井良一さん。注文してから2ヶ月ほどで受け取ることができる。軽くて丈夫、通気性がよく、防虫効果にも優れていることから、最近では着物を着る若い女性が箪笥代わりに買い求めていくという。

 一生ものの美しいつづら。出産や就職、結婚など人生の節目のプレゼントに最適なほか、海外へのお土産としても喜ばれるだろう。

DATA
店名 岩井つづら店
住所 東京都中央区日本橋人形町2-10-1
03-3668-6058
営業時間 9:00~18:00 日曜・祝日休
URL http://www.tsudura.com

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。