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絆傘処

雨の日でも心が弾む、お気に入りの傘

日本橋には、かつて傘職人をかかえる傘屋が70店以上あったという。しかしビニール傘の普及などから、その数も年々減っていき、いまでは傘職人ですら都内で20名ほどしかいない。そんな現状を変えるべく立ち上がったのが、1930年(昭和5年)創業の小宮商店だ。細部にまでこだわった純日本製の傘を世に広めようと同業者に声をかけ、昨年3月に「絆傘処」をオープンさせた。

「純日本製のニーズはあるんです。ただ、職人が少ないため量産ができない。だから、まずはネット販売を中心にして、実際に手にとって見てみたい方のために、この場所をつくりました」と営業部長の田口長雄さんは語る。

店内には呼びかけに応じた同業4社の商品が並ぶ。中でもいちばん人気は「甲州織両面16本骨長傘」。山梨県富士吉田でつくられる傘専用の甲州織は、生地の幅が傘の半径と同じため、端にミシン目がなく美しい。「傘の骨は、8本は“曲げ”と言われる縦のカーブがつくれるので全体の輪郭が秀逸で丈夫です。16本は開いたときに生地が丸いラインで広がって、素材感が綺麗にでますよ」。

店内はショールームであるとともに、傘職人の作業場も兼ねている。そのため完成までの過程を見ることができ、オーダーメードや修理も直接受け付けているという、作り手との距離が非常に近い場だ。

そろそろ梅雨入りの時期。この機会に絆傘処へ足を運んで、一生付き合っていける傘をひとつ、手にしてみてはいかが。

店舗情報

店名絆傘処(ばんかところ)
TEL03-6206-2570
Webサイトhttps://www.bankatokoro.jp/

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。

日本橋ごよみ2012年06月【第20号】