持ってよし、使ってよしの江戸箒 白木屋傳兵衛

2012年04月【第18号】
  • 左/手始めの1本としておすすめしたい江戸手箒(上)6,300円。
    右/大治将典氏発案、白木屋傳兵衛作の、ステッキ型の柄がかわいい掃印の掛け無精ほうき5,250円。

  • (手前から)手のひらサイズの洋服払い・埃払い向きの携帯用ブルーム1,155円。厚紙を貼り合わせ、柿渋を塗ることによって静電気が全くないチリトリ、はりみ(小・穴付き)1,155円。国産の草のみを使用した最高の逸品、江戸手箒(地草・特上)16,800円。

  • 左/箒の材料となるイネ科のホウキモロコシの束。よく混同されるトンブリがとれるホウキグサとは違って柔らかい。右/職人は弟子を含めて現在4人。短い手箒でも1人で1日5本をつくるのが精一杯だという。材料が一つひとつ形の異なる植物なだけに、箒づくりに「満足」の文字はない。

 上質な木を表す「白木(しろき)」という言葉には、“上質なものを扱っています”という意味もあるという。その2文字を冠する白木屋傳兵衛は、天保元年(1830年)の創業時、銀座で水売りを営んでいたが、縁あって“竹河岸”のある京橋に移る。そこで竹を生かしたざるや籠などの日用雑貨を売るかたわら、独自の座敷箒をつくり続けてきた。これが現在の看板商品「江戸箒」である。

 必要なときに、さっと掃けて置く場所をとらない江戸箒は、長屋暮らしが多い江戸っ子たちに大いに好まれたという。やがて電化製品が普及しだすと、家庭でその姿を見かける機会は減ったものの、白木屋傳兵衛は一途につくり続けてきた。自然植物を使い、軽さと機能性を重視した構造は、環境に重きをおかれる現代において、再び人気を集めている。

 「江戸箒は、普通の座敷箒とは違い、材料となる草を、職人頭が熟練の感覚でもって選り分けてからつくります。柔らかくコシのあるものだけを使うことによって、質のよい、耐久性のある箒になるんです」と自信を持って語ってくれたのは同店の高野純一さん。

 使い込んで箒の先がすり減っても、少しカットすれば再び新品のように生き返る。半ばまで短くなると屋外用にも使え、大事にすれば10年くらいは使えるという。さらに、柄の部分も竹でできているため、最後は燃料にしてしまえばゴミも出ないという優れもの。さりげなく身近に置いて、さっと使えば、粋な新生活が始められそうだ。

DATA
店名 白木屋傳兵衛(しろきやでんべえ)
住所 東京都中央区京橋3-9-8 白伝ビル1階
03-3563-1771
営業時間 10:00~19:00 日曜・祝日休
URL http://www.edohouki.com

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。