町火消に憧れた寿司屋は絵筆も握る 江戸町火消錦絵師 岡田 親 氏

2012年02月【第16号】
  • 「い組梯子乗り」町火消、日本橋室町「い組」の出初式を描いた作品。纏は有名な「いの一番に“けします”」の、丸い“けし”の実と四角い“桝(ます)”。31,500 円

  • (左/CD ジャケット)故レイ・ブラウン氏の遺作となった『HAPPY COAT』。タイトルが日本の「法被」とかけてあるという江戸っ子ならではの遊び心。この他、友人のジャズバンドのCD ジャケットなども手掛けている。各2,650 円

  • (右/提灯名入れ)オーダーで提灯部分に江戸文字での名入れが可能。注文から1 カ月ほどで完成品が届く。開店や結婚祝いなどに最適。23,100 円

明治10年代後半から続く老舗の寿司屋「京すし」の4代目主人であり、“江戸町火消錦絵師”として知られる岡田親氏。ジャズ・ベーシストの故レイ・ブラウン氏のCDジャケットや、直木賞作家・山本一力氏の『まとい大名』の表紙を手掛けるなど、各界の著名人にファンも多い。

近所に住んでいた鳶頭(とび)の伯父さんに憧れ、後をついて回っていた岡田少年は、青年になると古書店や古本市に頻繁に出没する“火消錦絵コレクター”となった。そんなある日、古書店の店主に、ひと桁違う金額を吹っかけられ、腹を立て「ならば自分で描いてやろうじゃないか」と独学で描きはじめ、いまに至るというのだから、なにが転機となるかわからないものである。

葛飾北斎の作風が好きで「自分で自分に北斎の生まれ変わりだと信じ込ませようとしているんだ」と照れ笑う岡田氏。アクリルカラーと墨で描く町火消。象徴である纏(まとい)や半纏(はんてん)はもとより、草鞋の履き方までもが時代考証に忠実なのだとか。ランチのお客さんが帰る午後2時すぎからの1時間半と、土日のすべてを制作に当て、描いた作品は1,000点以上。

「京すし」のカウンターに座れば、岡田氏の握る端正な江戸前寿司とともに、絵師本人から作品の解説が聞けるという二重の醍醐味を味わうことができる。

DATA
店舗情報

岡田親/江戸町火消錦絵師


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