古の旅人も常用したお灸を、自宅で手軽に 人形町志乃多寿司總本店

2015年03月【第53号】
  • 雛祭りに合わせて販売される『ひなちらし』(1,000円。3/1~3限定販売)。具材は玉子焼き、ハス、漬けまぐろ、海老、穴子、いくら、椎茸、かんぴょう、ごま、栗、絹さや、おぼろの12種類。

  • 左/厳選した7種類の具材が入った『ちらし寿司の素』(800円)。店の味が手軽に家庭で楽しめるとあって人気だ。日本橋案内所(コレド室町1 地下1階)でも販売中。
    右/『黄菊詰合わせ』(780円)。薄焼き玉子の中にごまと椎茸、粉海苔、栗、海老の混ぜご飯が入った『黄菊』は三代目が考案したのだとか。

  • 上/折り詰めは店の奥の厨房で手づくりしている。期間限定で、江戸の老舗、あひ鴨一品 鳥安、日本橋鮒佐、天野屋、山本海苔店とコラボレーションした『江戸巻き』も登場(3/6~4/7)
    下/人形町駅から歩いてすぐの場所にある本店。時季ごとに旬の食材を使った本店限定の商品も並ぷ。明治座へ観劇に出かける途中で立ち寄るお客さまも多い。

日常のおやつから特別な日の贈り物まで、ぜひ手にしてほしい、味わってほしい手みやげをご紹介する「日本橋 手みやげ」。今月は、創業130年あまりの人形町志乃多寿司總本店から、この時期にぴったりのお寿司をご紹介。

 甘酒横丁の中ほどにある人形町志乃多寿司總本店は、1877年(明治10年)に屋台として始まり、その後、現在の地に店を構えた。歌舞伎の人情話「葛の葉子別れ」の場面に登場する古歌、“恋しくば尋ねてきてみよ和泉なる 信田(しのだ)の森のうらみ葛の葉”にちなんで、店の名をつけたという。

 名物のいなり寿司は、創業当時からの変わらぬ味。「うちは甘辛く濃い味つけなので、味がほどよく浸みるように特別に薄いお揚げを使っています」と五代目当主の吉益敬容さん。油抜きをした揚げを醤油と砂糖、みりんで煮て、冷蔵庫で3~4日寝かせ、さらにもう一度味を含ませる。もうひとつの人気商品であるかんぴょう巻きも、かんぴょうに味をつけた後に数日置いてから使っている。「寝かせることで調味料が素材と馴染み、味が丸くなるんです」

 店頭のショーケースには通年商品の折り詰めがずらりと並ぶ。店には「今日はこれを食べたい」と決めて訪れるお客さまが多いという。そのほか季節の食材を使った押し寿司などもお目見えする。この時期のおすすめは、彩り豊かな『ひなちらし』。手間暇かけられた具材が織り成すハーモニーは絶妙だ。春の行楽には『黄菊詰め合わせ』はいかがだろう。美しい黄金色の茶巾寿司『黄菊』に、名代のいなり寿司、かんぴょう巻きという顔ぶれ。世代を超えて喜ばれる深い味わいだ。

DATA
店名 人形町志乃多寿司總本店
住所 東京都中央区日本橋人形町2-10-10
03-5614-9300(代)
営業時間 9:00~19:00 無休
URL http://www.shinodazushi.co.jp

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。