“せともの市” の名物 氷ようかん 壽堂

2014年08月【第46号】
  • 『氷ようかん』(1本 税込120円)。2センチ角、4~5センチほどの長さで、手軽にいただけるのが魅力。元が水ようかんなので、融けても液状にならず、冷凍庫に入れれば再び固まるそう。

  • 店内の工場でつくられる『黄金芋』(1個税込200円)は、明治30年代にはすでに登場していたという商品。1日に平均2,000個以上つくるという。

  • 上/白いんげん豆に卵黄を加えた黄身餡を、全卵と薄力粉と砂糖でつくった皮で包み込んで、ニッキの粉をまぶす。
    中/焼き芋のような楕円に成形した後、300℃前後の高温で焼いていく。ニッキの刺激が和らぎ、まろやかな風味へと変化する。

  • なんとも可愛らしい干菓子たち。時節に合わせて、店頭にさまざまなモチーフのお菓子が並ぶ。

日常のおやつから特別な日の贈り物まで、ぜひ手にしてほしい、味わってほしい手みやげをご紹介する「日本橋 手みやげ」。今月は、人形町にある明治17年(1884年)創業の老舗和菓子店 壽堂の夏季限定商品『氷ようかん』。

 日本橋蛎殻町で創業した壽堂は、明治40年代に、現在の店舗がある水天宮前交差点近くで営業を始めた。焼き芋をかたどった『黄金芋』は、100年前ほどから店頭に並んでいる看板商品。包みを開くとニッキの甘い香りがほんのりと漂い、食欲をそそられる。どこか懐かしい味わいのお菓子だ。

 夏季限定の人気商品に『氷ようかん』がある。この辺りは江戸時代、運河があり問屋が集まっていたことから、昭和に入ると“せともの市”が開かれるようになった。いまや夏の風物詩となったせともの市では、人形町時計台の下で「陶彦大神」の例祭を行うほか、さまざまな器が特価で販売される。「8月のはじめに開催されることが多いんです。暑い盛りにたくさんのお客さまがいらっしゃいますので、何かお店でできないかと考えて発案しました」と当主の杉山浩一さん。

 小豆と砂糖、わずかな塩を寒天の溶液で煮詰めて型に流し込み、水ようかんをつくる。それを細長く切り、アイスキャンディーのように串を刺して一晩凍らせる。全行程で3日かかるという。

 例年は7月下旬頃からつくり始めるが、近年は人気が高まり、5月頃から待ちわびるお客さまが増えている。「凍らすことで、水ようかんよりもあっさりとした甘さになるんですよ」。真夏の人形町散策のお供に、老舗の小さな涼をぜひ。

DATA
店名 壽堂
住所 東京都中央区日本橋人形町2-1-4
0120-480-400
営業時間 8:30~20:30(日祝~17:30)  不定休
※7月20日(日)より、日本橋案内所でも『黄金芋』『氷ようかん』を期間限定で販売予定

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。