豆腐の奥深さが味わえる店 双葉

2012年12月【第26号】
  • 『竹豆腐』はプレーン(300円)、ゆず(350円)、黒胡麻(350円)の3種類。醤油やめんつゆをかけても合う。いくらや雲丹などをトッピングすれば、年末年始の食卓が華やかに。

  • 通常のがんもの10個分ある『ジャンボがんも』(600円)。にんじん、切り昆布、銀杏、栗が入る。2階の豆腐料理屋では、お出汁のしみた熱々の品がいただける。

  • 上/木綿や絹豆腐のほか、油揚げや生揚げなどさまざまな豆腐商品が並ぶ店内。『銀杏がんも』(5個入600円)や濃厚な『豆乳』(490g300円)も人気。 下/豆腐づくりは毎朝3時から。大豆は青森産と滋賀産、にがりは国産の厳選品を使用している。商品により、最も適した素材を合わせるそう。

 人形町の甘酒横丁にある豆腐屋「双葉」。深川で創業した後、昭和23年(1948年)にこの地に移ってきたのだという。豊富な品揃えが魅力の店だ。

 風情ある竹筒に入った『竹豆腐』には、日本橋らしい逸話がある。かつて隅田川沿いには料亭がひしめき合い、春は花見、夏は花火、秋は月見の屋形船を出していた。そこで供する品として豆腐は人気だったが、舟の揺れでガラスの器から飛び出してしまうことが多かったため、それを防ぐ策として竹筒に流し入れた商品を思いついたのだという。

 「昔は豆腐づくりの課程で出るお湯も料亭に運んでいたんですよ。床磨きに使うとピカピカになるんです」と三代目の田中金一さんは教えてくれた。

 名物の『ジャンボがんも』は、三代目の遊び心から生まれた商品。30年ほど前、大きさの違うがんもを重ねて、年の瀬に“お供えがんも”として売り出したところ「美味しい」と評判になり、通年の商品として売り出した。家で煮る際には、味つけの前に茹でこぼすのがコツ。つなぎの大和芋がふっくらと膨らみ、味がしみやすくなる。「これからの季節、お豆腐はお鍋やおでんによく合いますよ」。

 ぜひ足を運んで、数種類のお豆腐を購入し、心ゆくまで大豆の美味しさを楽しもう。

DATA
店名 双葉
住所 東京都中央区日本橋人形町2-4-9
03-3666-1028
営業時間 6:00~20:00 無休(2階の豆腐料理屋は日曜・祝日休)

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。