新春にふさわしい、彩り豊かなばらちらし 蛇の市本店

2014年01月【第39号】
  • 12~13種類の魚介類が楽しめる『特上ばらちらし』(味噌汁、サラダ、デザート付2,000円)。車海老やうに、いくら、数の子、トロなどの贅沢な食材が盛り込まれ、目にも口にも嬉しい。

  • カウンターとテーブル席からなる店内は落ち着いた佇まい。半個室の2階は、夜の宴席に最適。同じビルの3階と近隣には、ご子息たちが手がける魚料理の店もある。

  • 三越前駅にほど近い店舗は、のびやかな文字の青暖簾が目印。“蛇の市”と印された陶板の赤い篆書、店内に飾られた美しい書とともに、すべて女将のご親類の手によるものだとか。

明治22年(1889年)、日本橋北詰の魚河岸に屋台で創業したという蛇の市本店。気取らない雰囲気の中、新鮮な江戸前の鮨がいただける。バラエティ豊かなランチメニューの中から『特上ばらちらし』をご紹介。

 120余年の歴史をもつ蛇の市本店。日本橋魚河岸の屋台「蛇の目鮨」が始まりで、関東大震災の後は一時期、築地に店を構えていたが、戦後に再びこの地に戻ってきた。

 作家の志賀直哉も贔屓にしており、初代・市太郎のことを親しみを込めて「蛇の目の市ちゃん」と呼んでいたことから、後にその愛称が店名になったという。「もともと江戸の鮨は、風呂屋の帰りに1~2貫をささっとつまむ屋台が始まり。いわばファストフードなんです。ですからうちはいまでも、出来るだけ気軽に食べていただけるような店でありたいと思っています」と、四代目の寳井孝二さんは話す。

 ランチメニューは、にぎりとちらしを合わせて8種類。特におすすめなのは、色とりどりの魚介類が散りばめられた『特上ばらちらし』だ。

 蛇の市本店の酢飯は、江戸前のすっきりとした味わいが特徴。「いまは砂糖を使っているお店が多いですが、うちの酢飯は昔ながらの酢と塩だけです。その代わりに、醤油に甘みを加えてバランスをとっています」。特に力を入れているという穴子は、ふっくらと柔らかな食感が印象的だ。生の穴子を煮立てた煮汁につけ込んで仕上げる“つけ込み”の手法を用いているという。

 昼はオフィスワーカーや買い物客で賑わう店内。老舗でありながら気取りのない雰囲気が漂うことから、女性一人でもふらりと立ち寄りやすい。心新たな一年の幕開けに、ちょっと豪華なばらちらしのお昼はいかがだろう。

DATA
店名 蛇の市本店
住所 東京都中央区日本橋室町1-12-10
03-3241-3566
営業時間 11:30~14:00(L.O.13:30)/16:30~22:30(L.O.21:30) 月・日曜・祝日休
URL https://www.jyanoichi.tokyo/

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