江戸切子づくり体験

2017年07月【第81号】
  • 完成品と見本。器用な方は斜めに曲線の模様を入れたり、線の太さを絶妙に調整したりと、仕上がりに違いが出る。夫婦でペアのぐい飲みをつくる方もいるそう。

  • 模様を決めたらマーカーで下書き。

  • 高速回転する金属の円盤で模様をカットしていく。器をしっかり抑え、怖がらずに思い切りよく歯に当てるのがポイント。

  • 短い直線で構成された模様の方が削りやすく、円形の線を結ぶのは少々難易度が上がる。

 1946年(昭和21年)創業の江戸切子の店 華硝(はなしょう)。職人による熟練の技が光る逸品は、国賓への贈答品やサミットの日本土産など、これまで数々の大切なシーンで日本を代表する贈り物として選ばれてきた。  日本橋本町にある店舗では、この歴史ある江戸切子づくりを体験することができる。まずは赤、青、ぶどう色から好きな色をチョイス。初めての方は、作業中にカットした模様が見えやすい赤やぶどう色がおすすめだそう。次に見本を見て、好みの模様を決め、マーカーで下書きを描いてから、硝子の上に機械で模様をカット。工房の職人は50種類もの金属歯を駆使して制作するというが、ここでは1種類の歯で底の部分から削り始める。実際に削ってみると、繊細な紋様を寸分の狂いもなく仕上げる職人のすごさがさらにわかる。

 模様をカットしたら、ペンで描いた下書きをスチールウールで落として完成だ。通常、磨きは薬剤で行うことが多いが、華硝では昔ながらの手磨きを行っている。それにより、独特な柔らかい色彩が生まれるそう。わずか1時間ほどで、ぐい飲みを仕上げることができる。自分で削った江戸切子でいただく冷酒の味わいは、きっと格別だろう。