暮らしの道具や食から、新しい名物まで。ぜひ手にしてほしい、味わってほしい日本橋の逸品をご紹介する「日本橋 逸品図鑑」。今月は石川県金沢市発祥の老舗菓子店「森八」。
寛永2年(1625年)、金沢城下で菓子屋“森下屋”として創業し、明治2年(1869年)に現在の屋号となった森八。390年近く、時代を越えて人々に愛され続けてきた名店だ。東京に初めて店を構えたのは戦前のこと。戦時中は原料調達の難しさからいったん引き上げたが、戦後に再び上京し、昭和49年(1974年)、現在の店舗が生まれた。室町での再開は、戦前の森八を知る人々に大変喜ばれたという。いまも家族三代に渡って買い求めるお客さまがいるそう。
「もともと茶人好みの菓子を追求していました。当初は進物用が主流でしたが、近年は普段使いのお菓子も充実させています」と店長の古川康治郎さん。店には伝統ある商品が多数存在するが、時代とともに世の中の嗜好が変化してきたことから、より多彩な品揃えになったという。どれも一つから購入できるのが嬉しい。
店を代表する銘菓のひとつが『黒羊羹 玄』だ。人気の“本練”は小豆を炊いて皮と身を分けるところから職人の手作業。黒糖を用いずに生み出される艶のある“黒”が特徴的だ。そのほか季節の菓子や、金沢から直送される美しい『上生菓子』も目に楽しい。加賀の歴史に思いを馳せながら、上質な和菓子で秋のひとときをゆったりと過ごしたい。
店名 | 森八 室町店 ※室町店については、2015年4月にて閉店 |
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URL | http://www.morihachi.co.jp |