江戸団扇と絵師の持ち味を心得た浮世絵団扇 伊場仙

2011年07月【第9号】
  • 「無病息災」を表現した六つの瓢箪や「勝ち虫」のトンボの和柄が描かれた江戸扇子。5,250円

  • 美しい多色摺りの復刻版・浮世絵団扇は2,940円。「善きこと聞く」に通じる吉祥模様「斧琴菊」柄の柄長団扇も人気。1,050円

  • 上/団扇や扇子、和雑貨などが美しくディスプレィされている店内。大胆な江戸小紋柄の江戸団扇、抽象的な江戸模様を描く江戸扇子など見ているだけでも楽しめる。扇子の柄は、季節を問わずなので好きな柄を選びたい。
    下/日本橋景が描かれた飾り扇子。浮世絵が刷られた飾り扇子シリーズは、外国人のお客様からも人気だとか。

徳川家康とともに江戸に上った、浜松商人・伊場屋勘左衛門が興した「伊場仙」。勘左衛門の生まれ年である天正18年(1590年)を創業年とし、屋号は出身地である浜松・伊場町に由来する。

 現在は、団扇や扇子、和雑貨を扱う伊場仙だが、創業当初は籠やつづらなどに使用する竹材や和紙を将軍家に納めていた。その材を使って、江戸中期には団扇を手掛けるようになる。さらに初代・歌川豊国、歌川国芳、歌川広重など名だたる絵師の版元になり、浮世絵を団扇に刷り込むことを考案。

 歌舞伎の演目は役者画の上手い国芳に、日本各地の名所は風景画名手の広重に、色艶ある美人画ならば豊国に、と絵師の持ち味を心得たプロデュース力で伊場仙の「浮世絵団扇」は江戸市中に広まっていく。さて日本橋で生まれた団扇は、江戸団扇と呼ばれ、持ち手や骨もすべて1本の竹を割いて作られている。大量生産するために考え抜かれた仕様であり、その形状もわずかな力で風を起こしやすい横長の楕円形だった。

 江戸時代は、涼をとり、炊事や虫追い、また装いにもあしらわれていた団扇。暮らしを見直すべき時代、江戸にならって粋な団扇を手に入れようか。

DATA
店名 伊場仙(いばせん)
住所 東京都中央区日本橋小舟町4-1
03-3664-9261
営業時間 10:00~18:00 土・日曜、祝日休
*但し、6月4日(土)~9月17日(土)の期間は土曜も11:00~17:00まで営業

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