冬の味覚を彩る だし文化

鍋料理やスープなど、温かいものが美味しい季節になりました。かつお節や昆布でしっかりだしをとった鍋料理は、美味しさも格別です。今号では、日本橋の老舗で購入できるだしや、日本橋の街で味わえるだし料理をご紹介。この冬はだしの"旨み"を心ゆくまで味わってみて。

2018年12月 【第98号】

日本橋には、店内で気軽にだしの試飲ができたり、テイクアウトが楽しめたりする店舗がたくさん! 写真は、日本橋だし場の『かつお・昆布合わせだし』(110ml 税込100円)。

いろんな種類のだし

にんべん日本橋本店/日本橋だし場

近海限定本枯鰹節

自宅で削りたてを楽しむのも、また味わい深いもの。年末年始の贈り物にも喜ばれるはず。『近海限定本枯鰹節』(100g 税込1,188円)。

本枯鰹節

にんべんの人気商品の一つ『本枯鰹節』(50g 税込540円)。カビ付けと天日干しを4回以上繰り返してようやく完成する本枯かつお節を日本橋本店で削り、パッケージしている。削りたての豊潤な風味が特長。

近海限定 本枯鰹節フレッシュパック伊勢屋伊兵衛

日本近海で一本釣りされた本かつおを、凍結せずに昔ながらの手間と時間をかけて、血合い抜きのソフト削りにした、贈り物に最適な逸品。『近海限定 本枯鰹節フレッシュパック伊勢屋伊兵衛』(2.5g×10袋入 税込1,620円)。

本枯鰹節 飲むおだし

フレッシュパック製法の技術を活かした、風味豊かな本枯かつお節のだしパック。日本橋だし場で味わえるだしが、自宅で手軽に味わえる。『本枯鰹節 飲むおだし』(6g×5袋入 税込540円/にんべん)。

外観

元禄12年(1699年)創業のかつお節専門店。初代 髙津伊兵衛が日本橋で塩干類の商いを始め、いまでは「だし」のきいた商品なども取り揃えている。日本橋だし場では、味わい深いだし料理が味わえる。

東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1 1階
(問)☎ 03-3241-0968
10:00~20:00、日本橋だし場10:00~19:00
休みはコレド室町1に準ずる
www.ninben.co.jp

八木長本店

かつお削りぶし

鹿児島県でとれた一本釣りのかつお節。一本釣りのかつおは傷が少なく鮮度のいい状態で加工されるため、風味豊か。『かつお削りぶし』(160g 税込1,296円)。

野菜のだし

無添加にこだわり、5種類の国産野菜でつくっただしパック。コクのあるコンソメスープのようなほっとする味わいが特長で、野菜スープとしてそのまま使える。『野菜のだし』(5包入 税込518円)。

東のだし、西のだし

左/かつお枯れ節と宗田かつお節をブレンドした、濃厚な味わいのだしパック『東のだし』(5包入 税込518円)。 右/焼きあごの香ばしさと深い味わいを最大限に引き出した、だしパック『西のだし』(5包入 税込518円)。

外観

元文2年(1737年)創業のかつお節と乾物の老舗。産地にこだわった上質なかつお節、昆布、しいたけのほか、豆、煮干し、半田手延素麺、うどんなど、素材のもつ味を大切にした商品を販売する。

東京都中央区日本橋室町1-7-2
(問)☎ 03-3241-1211
10:00~18:00
無休(正月のみ休)
www.yagicho-honten.jp

奧井海生堂コレド室町店

蔵囲利尻昆布

北海道利尻島で収穫され、運ばれた天然利尻昆布を2~3年かけて専用昆布蔵で寝かせ、旨みを引き出す"蔵囲昆布"は、澄んだ上品な旨みが特長。『蔵囲利尻昆布』(150g 大袋入 税込2,700円)。

がごめ昆布

北海道の豊かな海で育った『がごめ昆布』(60g 税込1,058円)。粘りが強いフコイダンが含まれ、ねばねばとした食感が楽しめる。

がごめ刻み昆布

がごめ昆布を細かく刻んだもので、味噌汁や煮物にそのまま入れられる。『がごめ刻み昆布』(50g 税込1,058円)。

お年賀

お年賀としておすすめなのが、2枚の昆布を編み上げてつくる細工昆布で、"吉祥昆布"と呼ばれるもの。職人の手製による越前和紙箱に入れた佃煮ギフトとともに、新年のご挨拶はいかが。左/『吉祥昆布和紙包み』(大1枚入 税込270円)、右/『越前和紙箱入り佃煮詰合せ』(税込1,404円)、奥/『CD箱詰合せE』(税込1,690円)。 内観

明治4年(1871年)創業、福井県敦賀市に本社を構える高級昆布の専門店。江戸後期、北前船の中継地として昆布が荷揚げされ、蔵で寝かせてから出荷した「蔵囲」の技を伝承している。御進物に、越前和紙箱入り昆布詰合せがとくに人気。

東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1 1階
(問)☎ 03-3548-0493 10:00~21:00
休みはコレド室町1に準ずる
www.konbu.co.jp

茅乃舎 コレド室町 日本橋店

野菜だし

"日本の洋食"に合う洋風だしを追求し、にんにく、セロリ、にんじんなどの国産野菜でとっただしパックは下味付きなので、野菜スープやポトフのほか、パックの中身をハンバーグやスパゲティに加えても。『野菜だし』(8g×24袋入り 税込1,944円)。

茅乃舎だし

焼きあご、かつお節、うるめいわし、真昆布など国産原料をブレンドした『茅乃舎だし』(8g×30袋入り 税込1,944円/茅乃舎)。味噌汁やだし汁のほか、パックの中身をチャーハンや野菜炒めの調味料としても。

内観

明治26年(1893年)、福岡県の久原村(現在の久山町)で醤油蔵として創業。厳選した素材で、化学調味料・保存料無添加の調味料をつくり続けている。食品販売とあわせて、自宅で簡単にできる美味しい料理の提案も行う。

東京都中央区日本橋室町1-5-5 コレド室町3 1階
(問)☎ 03-6262-3170
10:00~21:00
休みはコレド室町3に準ずる
www.kayanoya.com

にんべん監修 美味しいだしのとり方

かつお節専門店にんべんに教えてもらった、美味しいだしのとり方をご紹介!早速自宅で実践し、「ワンランク上の味」を楽しもう。


【かつお一番だし】豊潤な味と香り、濁りのない上品な琥珀色。吸い物、味噌汁、そばつゆ、うどんつゆに。
材料:かつお節30g、水1,000ml(カップ5杯)
つくり方:(1)鍋に水を入れ、沸騰したら火を止める。(2)削り節30gを入れて1~2分間置く。(3)ざるに布またはキッチンペーパーをしいて、削り節をこし、1分間置く。(4)だし約800ml(味噌汁約4杯分)が完成。 ※絞るとえぐみが出るので、絞らないこと。

【かつお二番だし】香りはやや弱まるが、濃い旨みが特徴。煮物、炊き込みごはん、鍋物に。
材料:一番だしのだしがらの削り節30g相当、水500ml(カップ2.5杯)、追いがつお用削り節4.5g~5g
つくり方:(1)鍋に一番だしのだしがらを入れて火にかけ、沸騰後、弱火で3~5分間煮出して火を止める。(2)に追いがつお用削り節を加えて、1~2分間置く。(3)ざるに布またはキッチンペーパーをしいて、削り節をこし、1分間置いたあと、軽く絞る。

【かつおと昆布の合わせだし】動物性と植物性の旨みが相まって、絶妙なバランス。煮物、鍋物に。
材料:だし昆布10g、かつお削り節20g、水1,000ml(カップ5杯)
つくり方:(1)鍋に水と昆布を入れ、30分~1時間置く。(2)を加熱し、鍋底から小さな気泡が出てきたら火を止め(約80℃)、昆布を取り出す。(3)再加熱し、沸騰後火を止め、かつお削り節20gを入れて2分間置く。(4)ざるにガーゼをしいて、削り節をこし、1分間置く。


日本橋で楽しめるだし料理

日本橋 お多幸本店

とうめし、みはからい四品

醤油で味付けした茶めしの上に豆腐を乗せた『とうめし』( 税込390円)と『みはからい四品』(一人前 税込980円)。『とうめし』はランチと夜合わせて、およそ300食の注文があるという。

外観

東京駅八重洲口、東京メトロ日本橋駅の両方からアクセスできる。ランチタイムは3階まで、夜は4階席まで開放される。

昼夜問わず、オフィスワーカーでにぎわう日本橋 お多幸本店は、大正12年(1923年)創業のおでん専門店。おでんだしは、かつお節のだし粉、日高昆布、砂糖、醤油を長年つぎ足してつくる、甘くて濃厚な関東風だ。大根や卵などはあらかじめ味をしみ込ませておくが、練り物は別に煮ておき、あとから加えるのだそう。ほどよくだしが染み込んだはんぺんは、320年以上続く老舗 日本橋 神茂のもの。人形町双葉の豆腐がまるごと一丁乗った、名物『とうめし』と一緒に楽しみたい。

東京都中央区日本橋2-2-3 お多幸ビル
(問)☎ 03-3243-8282 平日11:30~14:00(L.O.13:30)、17:00~23:00(L.O.22:15)、土曜・祝日16:00~22:30(L.O.21:45)
日曜休

鳥忠

玉子焼、親子焼

上/卵とだし汁でつくる『玉子焼』(税込800円)。冷めても美味しい、これぞ"関東の玉子焼き"だ。下/地鶏ひき肉の酒煮と三つ葉入りの『親子焼』(税込1,200円)。しっかりと味が付いているので、冬場は冷蔵庫で約1週間保存が可能。

外観

人形町甘酒横丁の中間にあり、平日も多くの人々で賑わう。金色の文字の寄せ看板と、茶色ののれんが目印。

明治44年(1911年)創業の鳥忠は、全国の地鶏や銘柄鶏の専門店。名物の玉子焼は観光客や明治座帰りの人々のお土産として人気があり、とくに一日30本限定の親子焼は夕方には完売するという。洋食店のコックの経験をもつ初代直伝のレシピで、1本あたり5~6個の卵とかつおと昆布だし、醤油、砂糖を混ぜ、店頭で丁寧につくられる。だし汁の割合は関西のだし巻き卵と変わらないそうだが、醤油の風味が引き立ち、口の中にふんわりと甘味が広がる。

東京都中央区日本橋人形町2-10-12
(問)☎ 03-3666-0025
平日9:00~19:00、土曜9:00~18:30
日曜・祝日休 ※臨時営業あり
www.toritada.co.jp

ばしらあ

日本橋らあめん

いちばん人気の『日本橋らあめん』(税込790円)。新川屋 佐々木酒店の酒粕入りで、分量の調整もできる。このほか、350gの野菜がとれる『ベジナッツ醤油やさい増らあめん』(税込900円)も人気。

外観

元気で温かみのある手書きののれんが目印。人形町界隈の店舗の食材を取り入れるなど、地域との交流も活発だ。

2013年、人形町の甘酒横丁を少し入った通りにオープンしたばしらあは、独自に開発したベジナッツスープのラーメンを提供する店。"野菜を食す"をコンセプトに、10種類以上の野菜と果物をミキサーにかけ、野菜ジュースをつくるところからスタート。そこに日高昆布とかつお節から2日間かけてとっただし、10種類のスパイス、秘伝の醤油だれとナッツを加えて完成するスープは、あっさりとした飲み口の中にもコクがあり、太平打ち麺にほどよく絡む。まさに健康志向のラーメンだ。

東京都中央区日本橋人形町2-11-8
(問)☎ 070-5020-1191 平日11:00~14:30、17:10~21:30(L.O.21:30)
土・日曜・祝日休

カユ・デ・ロワ 日本橋

YAKUZEN、

上/女性に人気の『YAKUZEN(ヤクゼン)』(税込1,300円)。日高昆布のほか、アガリクス、ヤマブシダケなど10種類のきのこを生から煮てつくるので、きのこだしの旨みが効いている。下/豚肉のだしを使った『P-TAN(ピータン)』(税込950円)。プルプルとした食感のピータンと豚ひれ肉、しいたけがいいアクセントに。アジア系観光客にも人気の一品。

外観

店内にはカウンター席が7席。できたてのお粥はテイクアウトもできるので、朝ごはんやランチにおすすめ。

今年9月、日本橋髙島屋S.C.新館にオープンしたCAYU des ROIS(カユ・デ・ロワ)は、その名の通りお粥の専門店。厳選した国産米を4時間以上かけて煮込んだお粥に、豚や鶏、昆布など数種類のだしを使い分け、バラエティ豊かなメニューを展開している。ネーミングもわかりやすく見た目にも楽しいお粥は、子どもから大人まで幅広い世代に人気。日本橋店ではきのこをたっぷり使った『YAKUZEN(ヤクゼン)』がとくに人気なのだそう。この冬は、体に優しいお粥で体を温めてみて。

東京都中央区日本橋2-5-1 日本橋髙島屋S.C.新館1階
(問)☎ 03-6281-9815 7:30~20:00(L.O.19:30)、土・日曜・祝日10:30~20:00(L.O.19:30)
定休日は施設に準ずる ※年末年始は営業時間変更の可能性あり