神田祭の楽しみ方

2年に一度行われ、“日本三大祭”にも数えられる「神田祭」。2011年の本祭りが東日本大震災で中止になったため、今年は4年ぶりに開催されます。日本橋の町会も多く参加し、「神幸祭(しんこうさい)」と「神輿宮入(みこしみやいり)」が行われる2日間は街がおおいに賑わいます。今号では、日本橋エリアで楽しめるスポットをピックアップしてご紹介。

2013年05月 【第31号】

神田祭の歴史と現在の形

"神田大明神"の神輿

担ぎ手たちによって高々と掲げられる"神田大明神"の神輿。

神輿神霊入れ(みこしみたま いれ)

5月10日の夜は、各町会で「神輿神霊入れ(みこしみたまいれ)」の神事が厳かに行われる。

"神田明神"の名称で親しまれている神田神社は天平2年(730年)、大手町にある将門塚周辺に創建。大己貴命(おおなむちのみこと)、少彦名命(すくなひこなのみこと)、平将門命(たいらのまさかどのみこと)を祀り、江戸時代には"江戸総鎮守"として信仰を集めた。この神田神社を代表する祭礼が2年に一度の「神田祭」で、かつて幕府公式の祭礼であったことから"天下祭"とも呼ばれる。当時は氏子町々より出される勇壮な山車(だし)や、この頃流行していた文化芸能を多様に取り入れた曳き物・仮装行列などからなる「附け祭(つけまつり)」が中心だったが、明治に入ると山車の代わりに神輿が出されるように。これが今日「神幸祭」と名前を変え、平成に入ってから復活した「附け祭」とともに人々の目を楽しませている。「神輿宮入」は戦後から広まり、現在、宮入をする神輿の数は約100基にも上る。これら迫力ある神輿渡御・宮入とともに、街の活気を間近で感じてみたい。

神田祭2013年5月9日(木)~5月15日(水)
場所...神田神社、氏子108町会(神田、日本橋、大手町・丸の内、秋葉原)
※雨天決行
(問)神田神社 TEL 03-3254-0753 www.kandamyoujin.or.jp

巡行路
巡行路

巡行路の詳細はマップをダウンロードしていただくか、4月20日発行の日本橋ごよみ5月号ご覧ください。

神幸祭(しんこうさい)

諌鼓山車(かんこだし)

山車の先頭を務める「諌鼓山車(かんこだし)」。"諌鼓"が打ち鳴らされることなく、鶏がとまるほど平和であったことに由来する。

5月11日(土)8:00~19:00 祭神が乗る鳳輦(ほうれん)、神輿をはじめとする行列が氏子108町会を巡り、町々を祓い清める神事。巡行区域は広く、8:00に神田神社を出発した行列が戻るのは19:00頃。約30kmの道々で附け祭の曳き物が加わり、行列は数千人規模に。東京都心を祭り一色に染める。


日本橋四の部地区神輿渡御

日本橋四の部地区神輿渡御(みこしとぎょ)
5/11(土)13:15~ 清杉通り
馬喰町、横山町、東日本橋エリアの6町会が参加して行う神輿渡御。神幸祭の行列を見送った後、清杉通りを4基の神輿が練り歩く。


昼御饌(ひるみけ)

昼御饌(ひるみけ)
5/11(土)13:20 薬研堀不動院
東日本橋二丁目には、神幸祭の行列が立ち寄って一時とどまる「両国旧御仮屋(おかりや)」があったという。その習わしはいまも残っており、薬研堀不動院の隣で「昼御饌(ひるみけ)」と呼ばれる神事が行われ、これをもって午前の部が終了となる。再出発する14:20までは、3基の鳳輦・神輿を一堂に見ることができる。


相馬野馬追騎馬武者

福島県の国指定重要無形民俗文化財「相馬野馬追騎馬武者」。

大江山凱陣

大鯰と要石

附け祭(つけまつり)出発
5/11(土)15:00~ 有馬小学校
江戸時代から人気だった附け祭。2009年の本祭りにも参加した福島県の「相馬野馬追騎馬武者」、「大江山凱陣(おおえやまがいじん)」、「大鯰と要石」、「ケロロ軍曹」のほか、今年は新たに「花咲か爺さん」が加わり、15:00に有馬小学校を出発して日本橋エリアをめぐる。中でも注目は、神田神社に祀られている平将門公が行った軍事訓練に由来すると言われる「相馬野馬追騎馬武者」。騎馬武者が日本橋を勇壮に歩く様は必見だ。

(写真)
上/2007年、バルーン技術を駆使して約170年ぶりに復元された「大江山凱陣(おおえやまがいじん)」。

下/地震の象徴である大鯰の頭に要石を置くことで、災害を防ぐ意味を持つ「大鯰と要石」。


神幸祭と附け祭の大行列
5/11(土)16:30~ 日本橋中央通り

日本橋三越本店前を行く鳳輦。通過予定は16:30頃。

※日本橋三越本店前を行く鳳輦。通過予定は16:30頃。

神幸祭の行列に附け祭が合流する日本橋中央通り。弓張提灯の装飾が施された日本橋三越本店を背景に、祭礼行列や多種多様な曳き物が練り歩く。子どもたちも多数参加するほか、今年初参加となる神輿も登場。神幸祭の中でもっとも活気あふれるスポットだ。

二の宮神輿神幸祭の行列が通過した後、室町一丁目会の神輿が夕方にかけて巡行予定。

(写真)
上/二の宮・少彦名命を乗せた「二の宮神輿」。昭和48年(1973年)、日本橋三越本店が創業300年記念で奉納したという。

下/神幸祭の行列が通過した後、室町一丁目会の神輿が夕方にかけて巡行予定。

神田祭で担がれる女神輿

奉納された2基のうち、神田祭で担がれる女神輿。

神幸祭と附け祭の大行列
5/11(土)16:30~
神幸祭に今年初めての神輿が参加する。安永9年(1780年)、日本橋で呉服問屋を営んでいた三井越後屋(後の三越)が奉納した男女一対の神輿の一つで、絹産業が盛んだった群馬県藤岡市に支店を出していた縁で同市の諏訪神社に寄贈された。商業、五街道の起点だった日本橋だからこそ生まれた縁が、230年の時を経て2つの地域を結ぶ。藤岡の担ぎ手によって日本橋を勇壮に巡行する神輿をお見逃しなく。

日本橋三越本店での神輿展示スケジュール5月3日(金)~5月12日(日)
場所...日本橋三越本店 新館1階 日本橋口
※5月2日(木)までは室町一丁目町会の神輿・山車を展示予定。

神輿宮入・地域渡御(みこしみやいり・ちいきとぎょ)

神輿宮入・地域渡御

5月12日(日)9:00~18:30神幸祭が氏子町会を練り歩く神事であるのに対し、翌5月12日は町会神輿が宮入のために神田神社を目指す。各町会が集まって自分たちの町内を巡る地域渡御も行われ、街の人々が多数参加。数基の神輿が連なって練り歩く様子は圧巻だ。
※一部町会は5月11日に実施。

日本橋地域の町会神輿宮入スケジュール

5月11日(土) 神幸祭
19:30~  蛎一共和会
浜三東部町会
浜町一丁目町会
人形町二丁目三之部町会
5月12日(日) 室町一丁目会
10:30~ 下町連合渡御
17:30~ 東日本橋三丁目橘町会
東日本橋二丁目町会

氏子総代として献饌(けんせん)を行う渡辺さん

氏子総代として献饌(けんせん)を行う渡辺さん。

子どもも参加して楽しむ町会のお祭り 渡辺秀次さん(「あひ鴨一品 鳥安」五代目/神田神社 氏子総代)

「東日本橋二丁目町会では、子どもたちが本祭りで初めて金棒隊(かなぼうたい)を務めます。これまでは他の地域に助っ人を頼んでいたのですが、今年から町内だけでできるようになったのが嬉しいです。規模は大行列に及びませんが、和気あいあいとした地域渡御は地元の楽しみですね。神輿を担いでみたい人は、地元町会に話をしてみるといいでしょう。その際に気をつけてほしいのは、神輿の上に乗ったりしないこと。高いところから見下ろすのも良くないとされています。地域によって規則が異なる場合もありますが、マナーやルールを守って、参加する方も見学する方も気持ちよく楽しんでください」

金棒隊を務める子どもたち。この日のために練習を重ねてきたそう。

金棒隊を務める子どもたち。この日のために練習を重ねてきたそう。


日本橋三の部地区連合神輿渡御

日本橋三の部地区連合神輿渡御
5月12日(日)10:00~ 人形町・蛎殻町界隈
日本橋三の部地区連合町会の神輿渡御は、神田神社、末廣神社、松島神社の氏子八ヶ町会で行われる。各町会を7基の神輿が約2時間かけて渡御する。


日本橋五の部地区連合神輿渡御

日本橋五の部地区連合神輿渡御
5月12日(日)12:00~ 明治座周辺(清洲橋通り)
10町会9基の神輿が参加。12:00頃からスタートし、12:30には明治座前に集合してセレモニーを行う。その後、清洲橋通りを中心に町内を渡御。


室町一丁目会神輿渡御

室町一丁目会神輿渡御
5月12日(日)13:30~ 室町一丁目全域
神輿宮入から戻った後、室町一丁目内をくまなく巡行。近隣企業のスタッフなど、総勢500名が参加。前日の5月11日は子ども神輿も。

お祭り用語集

氏子(うじこ)氏神が守護する地域に住む人々。神田神社の氏子は108町会ある。

御仮屋(おかりや)神輿が一時とどまり、神事を行う場所。御旅所(おたびしょ)、行宮(あんぐう)ともいう。

金棒(かなぼう)頭部に鉄の輪をつけた杖。お祭りでは行列の先頭に立つ者が突き鳴らし、神輿の行く手を清める。

昼御饌(ひるみけ)祭神にお食事である神饌(しんさん)をお供えすること。

鳳輦(ほうれん)神々の乗り物の一つで、頂上に鳳凰を据えていることに由来する

本祭り(ほんまつり)本式で行われるのが「本祭り」。神田祭は隔年で開催されるため、「本祭り」のない年に略式で行われる祭りを「陰祭り(かげまつり)」と呼ぶ。

神酒所(みきしょ)祭神に神酒などをお供えする場所。

神輿神霊入れ(みこしみたまいれ)氏子各町会の神輿に御祭神の神霊をお遷しすること。

宮入(みやいり)各町が祭神に参詣すること。


※参考:神田祭公式ガイドブック(神田神社発行)


画像提供/神田神社、東日本橋二丁目町会、名橋「日本橋」保存会、山本海苔店