
大正元年(1912年)年創業の書画用品専門店「有便堂」。画人・文人宅へ伺う風呂敷商いからはじまり、大正5年(1916年)に上野不忍池畔に店を構えるものの戦災で焼失。終戦後の昭和21年(1946年)、次は江戸の中心地で商いをという初代の想いをかなえ日本橋・室町に再開した。
南画*の大家・松林桂月に「便利で有るように」とつけられた屋号にたがわず、用途にあわせた筆が100数種、岩絵具に顔彩、古墨、さまざまな和紙、軸や額など書画材料が揃う店は、昔と変わらずに名だたる書家や画家が訪れる。
最近では絵画や書画を嗜む人だけではなく、オリジナルの和紙小物や雑貨を目当てに通う人も多い。女性作家が手掛ける切り絵のカードは、華やかで品があるグラフィカルなデザインで今昔の乙女たちに愛されている。また上質な和紙に日本橋のイラストが描かれた便箋やハガキは老若男女問わず好評だとか。
有便堂に足を運んだ際は、四季ごよみを織り込んだショーウィンドウも見て欲しい。今の時期ならば、師走を描いた粋な飾りがされているはずだ。
*中国発祥の南宗画を租として日本独自の発展を遂げた日本画のひとつの流派。
店名 | 有便堂 |
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住所 | 東京都中央区日本橋室町1-6-6 |
☎ | 03-3241-6504 |
営業時間 | 10:00~18:00 日曜・祝日休 |
URL | https://www.yubendo.com/ |