手間暇かけた昔ながらの富貴豆(ふきまめ) ハマヤ商店

2013年12月【第38号】
  • つややかな『富貴豆』(350g 1,200円~)は、温かな日本茶にもよく合う。午後には売り切れてしまうことが多いため、事前の電話予約がおすすめ。包装紙には食にまつわる漢字がデザインされている。

  • 新大橋通り沿いにある店舗。千本格子と味わいのある一枚板の看板が歴史を感じさせる。

  • 風情ある木製のショーケース。看板商品である『富貴豆』のほか、『かつおでんぶ』(200g 1,000円)、『吹寄せ昆布』(200g 1,200円)などが並ぶ。ご贈答用に詰め合わせも。

暮らしの道具や食から、新しい名物まで。ぜひ手にしてほしい、味わってほしい日本橋の逸品をご紹介する「日本橋 逸品図鑑」。今月は日本橋人形町に四代続く「ハマヤ商店」。

 美しい黄金色が特徴のハマヤ商店の『富貴豆』には、熱烈なファンが多い。ご近所の女性が“箸休め”として買い求めたり、出張帰りの男性がお土産にと数箱まとめて購入したり。「一度召し上がって気に入ると、何度もリピートしてくださるお客さまが多いんです」と話すのは、四代目の濱田さん。

 創業当時からほとんど変わらないというつくり方は、実に丁寧だ。店の奥にある工場で、まずそら豆を蒸かし、人の手で一粒一粒の皮を剥いていく。「これが実に手間のかかる作業なんです。いまでは手で皮を剥くお店はほとんどないと思いますよ」。続いて、みりん、ざらめ、醤油、酒などを加えて大釜でじっくりと炊いていく。楢薪と炭を使うところがポイントだという。ガスに比べて火加減が難しいことから、熟練の技が必要となる。こうした手間を惜しまない仕事によって、鮮やかな自然の色味とふっくらとした深い味わいが生まれていく。

 一口いただくと、醤油の香りがほんのり漂うところがハマヤならではの味つけ。くどさのない上品な甘みはどこか懐かしく、心和む美味しさだ。これからの季節、ちょっとしたお使い物や手土産に喜ばれる一品だろう。

DATA
店名 ハマヤ商店
住所 東京都中央区日本橋人形町2-15-13
03-3668-1886
営業時間 平日10:00~17:00(土曜~14:00) 日曜・祝日休

※情報・価格等すべて取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。