江戸の知恵から学ぶ 夏至(げし)・小暑(しょうしょ)

2011年07月【第9号】
  • 流水(りゅうすい)/水色
    水を意匠化した文様は古くから見られますが、「流水」はその中でも最も古い文様のひとつで、遡れば弥生時代の銅鐸などにも描かれています。江戸時代には、あやめ・杜若の図柄には必ず流水文と八橋が描かれているほど人気が高く、水辺の涼やかさを彷彿させることから、夏もののきものの図案に多用されています。優美な曲線には、水浅葱色をやや淡くし、藍がからせた「水色」を合わせました。その名のとおり水を模した色で、万葉集などでは「水縹」の名で古くから親しまれています。白地に合わせることでより涼やかさが増し、身にまとって外を歩けば、自分だけでなく見る人々の暑気も払ってくれることでしょう。

 梅雨前線が活発になるこの時期、「今日も雨」とため息をつく人も多いのでは?しかし鬱陶しい雨の日だからこそ、男性は傘にこだわり、女性ならオシャレなレインブーツを履いて、心軽やかに街へと出かけたいものだ。

 梅雨真っ盛りの6月22日は「夏至(げし)」。春分からどんどん日照時間が長くなり、夏至の頃に昼が最も長く夜が最も短くなる。関東では新小麦(小満時に刈り取られた)で麦餅を、関西ではイネが根をはるようにとタコを、食べる風習があるそうだ。

 そして7月7日は、「小暑(しょうしょ)」だ。この日を前後に梅雨が明け、本格的な暑気に入る。この小暑から立秋にかけてが暑中となるので、暑中お見舞いはこの期間に送りたい。小暑の終わりには、雑節である「夏の土用」の時期。鰻を愉しむ土用の丑は、もう少し先なので(今年は7月21日と8月2日)、それまでに夏バテしないよう体調管理にお気をつけあれ。

 6月29日には「隅田川の川開き(水神祭)」が開催される。これは将軍・徳川吉宗が飢饉や疫病への邪気払いと犠牲者の鎮魂のために、両国大川ではじめた行事だ。今年は、特に東日本大震災で亡くなった人たちの鎮魂と被災地の再生・復興へのエールを、との思いから川開きや花火大会が開催される。

 そして7月中旬からは日本橋でも日本橋川周遊やゆかたイベントなど多数のイベントを予定。この時期ならではの江戸薫る行事を愉しんで欲しい。