小満(しょうまん)・芒種(ぼうしゅ)

2011年06月【第8号】
  • 立涌(たちわく)/ 白緑(びゃくろく)色
    波状になった曲線が2本向かい合い、繋ぎ繰り返される「立涌」は、水や雲などが水蒸気となって立ち涌く様子をその形から連想させます。古来より蒸気が立ち昇るさまは吉祥とされ、平安時代以降、公家や貴族の装束や調度品などに用いられた格の高い文様です。また、立涌は膨れた部分に意匠化された雲・波・藤・唐花・牡丹などを入れた雲立涌・藤立涌などもあり、多彩な顔を持ちます。白い文様に地色は初夏らしい「白緑」を合わせました。鉱物の孔雀石(マラカイト)を砕いた粉末を、さらに細かくして作る淡く涼やかな色合いで、絽の着物や浴衣などに取り入れれば、梅雨の時期でも明るい気持ちで過ごせそうです。

 朝から眩しいぐらいの日差しを浴びて、スーツの上着を手にしたビジネスマンや半そで姿の女性たちがオフィスへと向かう。制服などの衣替えをそろそろ実施する学校や企業も多く、暦の上だけではなく夏が始まるのだ。

 万物が次第に長じて天地に満ち溢れる、そんな意を持つ「小満(しょうまん)」は5月21日頃だ。蚕も桑をどんどんと食べ始め、晩秋にまいた麦の穂も大きくなり刈り取られるのを待つばかり。現代では初夏とされるこの時期も、麦にとっては収穫時期。ゆえに「麦の秋」とも呼ばれている。

 さらに江戸中期の俳人・山口素堂の「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」の俳句にあるように、小満の頃に揚がる初鰹の刺身をいただくことは、食道楽で初物(はつもの)食いである江戸っ子の大きな愉しみでもあった。日本橋の魚河岸も初鰹を買い求める人たちでさぞや賑わったことだろう。

 6月6日頃は「芒種(ぼうしゅ)」である。ちなみに「芒(のぎ)」とは、イネ科の穀物の実にある針状の突起のこと。稲などの穀物の種を田畑に植えつける時期なのだ。そして芒種を迎えるとそろそろ梅雨入り、鬱陶しい梅雨時期は心身の調子を崩しやすいのでご注意あれ。

 さて6月19日(日)は父の日。「ありがとう」の言葉とともに感謝の気持ちを込めた贈り物を日本橋で選んでみてはいかがだろう。巻頭特集で紹介している日本橋ならではのギフトもご参考に。