日本橋再生計画 【文化】の発祥地、日本橋

江戸時代の日本橋は、商業だけでなく、文化においてもめざましい発展を遂げました。絵草紙や浮世絵などの印刷物、江戸歌舞伎や人形浄瑠璃などの芝居─。こうした文化が盛んになったことで、日本橋はさらなる賑わいを見せました。

日本各地から集まり、発展した様々な文化

江戸時代の文化は、京都や大坂を中心におこった「元禄文化」と、江戸を中心におこった「化政文化」に分けられます。これらはいずれも、町人が育んだ庶民の文化である点が特徴。こうした文化の発展には、五街道の起点として全国から多様な文化・技術が結集した、日本橋の存在が大きく貢献したと考えられています。

江戸時代の主な文化 ■文学作品 浮世草子… 井原西鶴、十返舎一九、滝沢馬琴ほか
■舞台演劇 歌舞伎、人形浄瑠璃… 近松門左衛門
■絵画 装飾画… 俵屋宗達、尾形光琳
  浮世絵・錦絵… 菱川師宣、安藤(歌川)広重、葛飾北斎

出版文化の礎

日本橋では、江戸時代を代表する書籍や絵草子、浮世絵など、印刷物の生産が多数行われました。江戸最大の書物問屋「須原屋」や、浄瑠璃本の版元として発展した「鶴屋喜右衛門」など、多くの版元が活躍。このような印刷文化の流れを受けて、明治時代に入っても、日本橋では本屋や新聞・出版等の企業が発展を遂げました。現在の日本橋にも、紙問屋や印刷関係の企業が多いのは、こうした街の歴史が残っているためといえるでしょう。

江戸歌舞伎のはじまり

日本橋は、芝居見物の街としても人気を博します。江戸歌舞伎や人形浄瑠璃などの上演は、現在の日本橋「人形町」界隈(堺町、葦屋町、木挽町の3町)に限られたため、このエリアは魚河岸と並び、最も江戸っ子的気風を育んだ地となりました。
特に江戸歌舞伎は、大衆文化として人気と地位を確立します。江戸歌舞伎のはじまりは、1624年(寛永元年)、中村座の猿若勘三郎が中橋(日本橋と京橋の中間)で櫓(やぐら)をあげたことに由来。まもなく市村座、森田座、山村座が続き、江戸歌舞伎はますます発展していきました。「役者の氏神」といわれた市川団十郎をはじめ、市川団蔵、岩井半四郎、尾上菊五郎 などのスーパースターが絶大な人気を集め、文化・文政期には、『東海道四谷怪談』で名を残した鶴屋南北(四代目)が登場。また、長唄の杵屋六左衛門、囃子の田中伝左衛門なども輩出するなど、やがて江戸歌舞伎は、大衆文化の項点に立つようになりました。

江戸を華やかにした芝居街

「三芝居之図(中村座内外の図)」歌川豊国 1817年 早稲田演劇博物館所蔵

かつて日本橋人形町界隈は、「芳町」「堺町」「葺屋町」などと呼ばれ、芝居街として賑わいを見せました。1841年(天保12年)に浅草猿若町に移転が命じられるまで、歌舞伎の興行地であった人形町界隈と、同じく芝居小屋木挽町は、江戸の芸能文化の中心地として繁栄します。また芝居小屋以外にも、講談や手品、曲芸などさまざまな演芸が興行され、一大興行街として江戸を華やかに盛り上げました。

日本橋に点在する現在の文化的施設

三井記念美術館

江戸時代以来300年、三井家により収集された美術品の数々を展示。日本でも有数の貴重な文化遺産を閲覧することができます
三井記念美術館オフィシャルサイト


三井本館
昭和初期を代表する事務所建築として、1998年に重要文化財に認定。現在もビジネスをはじめ、さまざまな人が集う場として広く利用されています。


日本銀行本店

1974年に重要文化財にも指定された、日本の中央銀行。地下金庫は一般公開され、見学することができます。
日本銀行本店オフィシャルサイト


日本銀行貨幣博物館

日本および諸外国における、古来からの貨幣の博物館。貨幣の歴史を知ることができます。
日本銀行貨幣博物館オフィシャルサイト


三越劇場
1927年、世界初の百貨店内劇場として、日本橋三越本店6 階にオープン。演劇以外にも、「三越名人会」などの自主公演が有名です。
三越劇場オフィシャルサイト


お江戸日本橋亭

落語芸術協会の定期寄席をはじめ、講談、新内、義太夫、小唄・長唄などの伝統芸能の公演や発表会、稽古場としても広く利用できる多目的ホールです。
お江戸日本橋亭オフィシャルサイト


小津史料館

紙商・小津清左衛門長弘の歴史を展示公開する史料館。東京都中央区登録有形文化財として保存指定を受けた古文書千二百余点のうち、約千点の史料を順次公開しています。
小津史料館オフィシャルサイト


凧の博物館

江戸凧をはじめ、日本全国から集めた約3000 枚の凧を展示。各種グッズも販売しています。
凧の博物館オフィシャルサイト


高島屋ギャラリー

百貨店「高島屋」内にあるギャラリー。さまざまな展示が行われています。ショッピングの合間に観覧するのに最適です。


アーティゾン美術館

印象派と20世紀美術を中心とするヨーロッパの近代美術と、明治時代以降の日本の洋画を展示。
アーティゾン美術館オフィシャルサイト


日本橋図書館

日本橋小学校との複合施設で、5、6階が図書館となっています。レファレンスカウンター、地域資料室では、調べものの手伝いをしてくれます。
日本橋図書館オフィシャルサイト


中央区立日本橋公会堂

花道などを設置した舞台機構により、本格的な日本舞踊の公演が可能な劇場。付帯設備には、「藤娘」「娘道成寺」などの定式道具も常備しています。
中央区立日本橋公会堂オフィシャルサイト


明治座

明治・大正・昭和・平成にわたる130年以上の歴史と伝統を誇る、歌舞伎・新派の殿堂。連日さまざまな演目が上演されています。
明治座オフィシャルサイト


ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション

カラーメゾチントという独特の銅版画技法を開拓し、国際的評価も高い銅版画家・浜口陽三の作品を展示。銅版画の魅力を紹介する企画展、イベント、版画教室なども開催しています。
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションオフィシャルサイト