山王祭

2016年08月【第70号】
  • 檜物町の神輿。日本橋の橋上での“差し”では、熱気に満ちあふれ、日本橋の誇りを感じさせる。

  • 神幸祭で日本橋日枝神社を出る宮神輿。多くの人であふれるなか、祭りの警護に当たる御防講(おふせぎこう)も祭りを支えた。

  • 下町連合渡御で茅場町二・三丁目町会と兜町町会の御仮屋前を通るお神輿。

  • 神幸祭では、日本橋一丁目町会の御仮屋に町神輿が飾られていた。この神輿には日本橋のシンボルの一つ、麒麟の彫刻が随所に!

 6月7日~17日に斎行された山王祭。祭りが好きだというMさんに、2日間、日本橋での山王祭を間近で体感してもらった。

 今年は江戸城に祭りの行列が入城して400年の節目ということで、事前にあちこちで山王祭の歴史や神輿、山車などをテーマにした講座やトークイベントが開催された。Mさんもそこから参加し、期待を膨らませながら、10日の神幸祭を迎えた。

 古式ゆかしい王朝装束の大行列が氏子町域を巡幸する神幸祭。Mさんはより間近で見るべく、御旅所(おたびしょ)となる日本橋日枝神社へ。今年は公式のスマートフォンアプリが公開され、行列の位置も即時にわかるため待機中も大いに活用した。神幸祭を見るのは初めてというMさん。鳳輦(ほうれん)2基と宮神輿が入ってくるや、大きさと華麗さに目を輝かせ、御旅所祭の静粛な雰囲気に心も清められた。行列が中央通りを巡幸した後は、町会ごとに建てられた御仮屋や宵宮をゆっくり見物した。

 12日はいよいよ下町連合渡御。日本橋日枝神社からの宮出しに始まり、茅場町~八丁堀に進み、神輿が連なるにつれて担ぎ手の熱気も増してくる。中央通りともなると、全15 基の神輿が勢揃いし、より勇壮に渡御する。日本橋の橋上では鳶頭衆(かしら)が木遣りを唄いながら先導。唄声は辺りに轟き、それぞれの神輿が高々と差し上げられるシーンは圧巻だった。各町会、各企業のさまざまな半纏も一堂に会し、担ぎ手たちの背中を見ると日本橋の街の力を改めて実感。街の方はよく「時代が変わっても心意気は変わらず」と語るが、その真意を肌で感じ、天下祭の名にふさわしい山王祭に見惚れた。Mさんは「次回は街の人と一緒になって担いでみたいですね! 」と祭りの熱気冷めやらぬ顔で語っていた。

DATA

山王祭
徳川将軍らが上覧したことから“天下祭”ともいわれ、神田祭と1年おきに斎行される。下町連合渡御は、神輿渡御の活気を取り戻そうと2006年から始まり、年々、盛大化している。


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