昭和から続く、旨みたっぷりの鍋料理 大勝軒

2015年10月【第60号】
  • 昭和から続いてきたメニューのひとつ中華鍋『火鍋子』(1人前1,250円、写真は3人前)。ラーメンのベースともなっているスープは老若男女に好まれる優しい味わい。野菜もお肉も、思いのほかさっぱりといただける。お好みで柚胡椒を添えて。10月より提供開始。

  • コース料理には、焼き豚、シュウマイ、春巻き、ピータンなどの前菜に、もやし旨煮、麻婆豆腐がつく。鍋に残ったスープにラーメンを加えて、ボリューム満点。(1人前 3,500円~)

  • 上/2階のお座敷は、最大で25名程度の貸し切りにも対応(予約10名~)。
    下/1階はテーブル席で、どちらも懐かしく居心地が良い雰囲気。

  • 趣のある建物は映画のワンシーンのよう。古くから通うファンも多い。

 東京メトロ三越前駅から徒歩3分ほどのところにある大勝軒は、昭和の頃から続く味が楽しめる人気の中華料理店。優しい味わいのスープとともにいただく秋冬限定メニュー『火鍋子(ホーコーズ)』をご紹介。

 昭和8年(1933年)の創業の頃より中華料理一筋の大勝軒。初代が人形町の大勝軒で修行を積んだ後、この地に開業したのだという。中華そば、ワンタン、五目焼きそばなど、ほとんどのメニューが創業当時から続くもので、シュウマイや春巻きの皮、麺、焼き豚などもすべて別棟で手づくりしている。

「いまでこそ自家製の店が増えていますが、うちは昔からずっと変わらずに手づくりなんです。とりたてて謳ってはこなかったんですけれど」と三代目店主の高橋一祐さんは笑顔で話す。店内は昭和の面影を残し、どこか懐かしい佇まい。昼夜を問わず、近隣のオフィスワーカーで賑わっている。

 秋から冬にかけて特におすすめなのが、約60年以上前から提供しているという『火鍋子』だ。 「いまはガスコンロでお出ししていますが、燃料のなかった戦後すぐは、屋外でコークスを火力にお出ししていたそうです」。

 鍋のベースとなるスープはコクがあり、まろやか。ラーメンのスープがベースとなっているもので、豚の拳骨や鶏の足、ネギの青い部分、キャベツ、煮干し、玉ねぎ、にんじん、昆布などの具材をふんだんに使って煮込んでいるという。旨みが凝縮したこのスープに、牛肉、鶏肉、豚肉、野菜を入れていただく。さらに〆には、残ったスープにラーメンを加えて楽しむ。

 かつては2階の座敷のみで提供するメニューだったが、現在では、1階のテーブル席でもオーダーが可能(2人前より)。10月に入ってからの提供となるため、毎年、心待ちにしているリピーターが多いという。気の合う仲間とともに囲みたい、味わい深い鍋だ。

DATA
店舗情報 ※一時休業中

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