おもてなしの心を香りにのせて 香老舗 松栄堂 人形町店

2013年11月【第37号】
  • 『印香 姫の香』(2,940円)は四季折々の豊かさを香りに託した一品。灰と炭を用いて間接的に熱を加え、温めて香りを聞く。

  • 上/『干支香り袋午』(敷板付き全2色各3,360円)は来年の干支である馬をかたどった香り袋。一足早く、玄関や居間に飾ってお客さまを迎えてみては。(限定商品のため、無くなり次第販売終了)
    下/『新芳輪京五彩』(簡易香立付1,260円)は、香の入門にぴったり。天平、室町、元禄、白川、二条といった5つの香りがスティック状で楽しめる。いずれもたいた直後だけではなく、残り香を大切に。

  • 『銀製香立』(各1,890円)は小さく愛らしい純銀製のお香立。2つの径の穴をそなえ、太さの異なるお香をたくことができる。いくつか揃えて、季節や気分で使い分けたい。

  • 人形町通りから一本奥の路地にある店舗。店内には手軽な匂い袋や、部屋にかける掛け香、灰と炭を使ってたく本格的なものなど、約800種類もの香が並ぶ。

暮らしの道具や食から、新しい名物まで。ぜひ手にしてほしい、味わってほしい日本橋の逸品をご紹介する「日本橋 逸品図鑑」。今月は京都に300年以上続く「香老舗 松栄堂」。

 飛鳥時代に日本に伝わったとされる香。平安時代には貴族が衣服や部屋への移り香を楽しみ、室町時代には香道の祖師が生まれ、江戸時代に大陸から線香の創造技術が伝わり、庶民の間に広まった。

 宝永2年(1705年)に京都で創業した松栄堂は、長きにわたって香文化を育んできた名店だ。人形町店が誕生したのは、昭和39年(1964年)。現在に至るまで、お気に入りの品を買い求めるリピーターに愛され続けている。

 松栄堂の香の特徴は、すべて天然香料からなること。「天然香料はその時々によって同じ原料でも違いが出てきます。それを調合師が毎回、同じ香りに仕上げていく。非常に奥が深い世界なんです」と取締役東京支店長の芝原洋一さん。

 香りは、触れる場所や季節、その時の心持ちによって感じ方が異なるという。「香りの好みはその方の体験や記憶と深く結びついているもの。ですから、いいなと感じる方もいれば、そうでない方もいらっしゃる。ご自身に合った香りを見つけるには、実際に試して直感で選ばれるのがよいと思います」。

 身にまとうだけではなく、来客時に部屋で用いれば非日常感が生まれ、おもてなしの心が伝わる。「相手のことを想って香をたく。ぜひ香りで“心美人”になっていただきたいと思います」。

DATA
店名 香老舗 松栄堂 人形町店
住所 東京都中央区日本橋人形町2-12-2
03-3664-2307
営業時間 9:00~18:00 日曜・祝日休
URL http://www.shoyeido.co.jp

※上記は取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。