食卓に欠かせない“鰹節”の奥深さを知る にんべん

2013年09月【第35号】
  • 熟練の職人の手によって行われる本節の選別。カンカンと叩いたり、太陽の光にかざしたりして内部の状態をチェックする。年間約5,300t のカツオを使用し、そこから商品となるのは約900tだという。背節はお吸い物など上品にさっぱりと仕上げるときに、脂肪分が多くややコクが出る腹節は蕎麦やうどんのつゆなどにおすすめ。

  • 下段のボックスが透明な『スマート削り器』(9,975円)。削った鰹節の厚みや形、量が確認できるうえ、ボックスは洗えて衛生的。

  • 左/最初の屋号「伊勢屋伊兵衛」からイの字をとり、商売を堅実に行うためのお金(かね)と組み合わせたという暖簾印「カネにんべん」。右/看板商品『本枯鰹節削りたて』は“荒削り”と“ソフト削り”の2種類から選べる。パッケージは通常の420円(50g)のほか、使い切りに便利な178円(15g)も。

  • 入口にある“だし場”は一汁一飯をテーマにしたイートインコーナー。削りたての本枯鰹節でとった『かつお節だし』(100円)のほか、月替わりの汁物メニューも人気。左から『鮭のトマトクリームシチュー風スープ』、『牛煮込み汁』、『いなむどうち』(9/1より販売、各350円)。

暮らしの道具や食から、新しい名物まで。ぜひ手にしてほしい、味わってほしい日本橋の逸品をご紹介する「日本橋 逸品図鑑」。今月は310年以上の歴史を持つ鰹節の老舗「にんべん」。

 日本料理に欠かせない鰹節。鰹節のだしの香りには、100種類以上もの成分が複雑にからみ合っているのだとか。その美味しさを存分に堪能できるのが、コレド室町1階にある、にんべん日本橋本店だ。

 鰹節(本節)がどのようにつくられるかというと、まずカツオの身を3枚におろして煮熟し、焙乾(ばいかん)という燻しを行って「荒節」に仕上げる。この段階で既に立派な商品なのだが、にんべんではさらに江戸後期から伝わる技を重ねて、最高品質の鰹節を生み出す。

 荒節の表面を削り、裸節を戸外で数日干し、純粋培養された麹カビを植菌して、温度、湿度が管理された室(むろ)に入れる。これを繰り返し、四番カビ以上つけたものが『本枯鰹節』だ。香りも味も豊かな“鰹節の王様”といえる逸品。「削りたてはさらに美味しいんです。ご自宅で削るのも決して難しくありません」と、広報担当の木村絵里子さん。店内では削り方も教えてもらえる。

 ガラス張りの“けずり場”では、機械で本節が削られてくる様子を見ることも可能。ここで削られた『本枯鰹節』を、その場で袋詰めにしたものは本店だけの限定商品。そのほか、たっぷりのだしを使った『つゆの素』や、炊き込みご飯の素、冷凍惣菜なども豊富。帰省時の東京土産としても最適だ。

DATA
店名 にんべん 日本橋本店
住所 東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町1 1階
03-3241-0968
営業時間 10:00~20:00(だし場 11:00~19:00/ランチタイム~14:00)  無休(1月1日、ビルメンテナンス日を除く)
URL http://www.ninben.co.jp

※上記は取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。