驚きと感動を秘めた伝統の和菓子 玉英堂

2012年05月【第19号】
  • 当主が三代にわたって寅年生まれだったことから、鞍馬寺の和尚さんに名づけていただいたそうだ。包み紙を少しずつ開けば、綺麗な虎模様が現れる。虎家喜1個260円。

  • 色鮮やかな中の層が目にも楽しい逸品。切ったときにいかに美しい層になるかが、職人技の見せどころ。玉饅1個650円。

  • 甘酒横丁の入口、通りの名前の由来となった甘酒屋「尾張屋」の跡地でもある。現在でもその想いを受け、「特製 甘酒の素」を販売している。

  • 常時30種類以上の菓子が並ぶ店内。「1個でも2個でも、食べたいと思ったときに、気軽にお越しいただければ」とのこと。

人形町・甘酒横丁を歩けば、必ず目に入る玉英堂の暖簾。江戸時代から御所に菓子を納め、“御州濱司(おんすはまつかさ)”の称号を授かったことから、州濱の形が紋のモチーフとなっている。

 天正4年(1576年)に京都で創業して以来、さまざまな名菓を手がけていたが、江戸進出の折には、当代が生誕の際に考案された品「虎家喜(とらやき)」が大好評を博し、現在の地が本店となった。

 「虎家喜」はただのどら焼きではない。秘伝の製法でつくられた皮は驚くほど柔らかく、餡は小豆そのままの食感を生かした“粒餡”が使われている。「通常、“つぶあん”といえば、軽く潰した餡を想像される方も多いと思いますが、うちでは潰さない粒餡と、つぶし餡、こし餡の3種類に分類しています」とこだわりを教えてくれたのは24代目の今江康人さん。小豆は粒が大きく、味、香りともに豊かな北海道産の大納言を使用。粒丸ごとならではの食べごたえがある。

 もう一つ、見た目からは想像のつかない品がある。このお店の代表作「玉饅(ぎょくまん)」だ。一見、素朴な紅白饅頭のように見えるが、中身はカラフルな5つの層からなるという、手間を惜しまない職人技が光る逸品。栗を中心に、つぶし餡、紅で染めた白餡、うぐいす餡を重ね、薯蕷(じょうよ)の皮でくるんでいる。全体的にあっさりとした甘さで、重なった餡の繊細なハーモニーをじっくりと味わえる。

 どちらも一度味わえば、誰かに教えたくなる驚きと感動を秘めたお菓子だ。

DATA
店名 玉英堂(ぎょくえいどう)
住所 東京都中央区日本橋人形町2-3-2
03-3666-2625
営業時間 9:00~21:00(土曜~20:00、日曜・祝日~17:00)