江戸っ子にお茶の愉しみを広めた 山本山

2011年11月【第13号】
  • 暦にあわせてブレンドを変えた二十四節気シリーズを提案。左/煎茶「立冬」(1050円 *11月8日~11月22日発売)は、初冬に飲みたいまろやかな味わい。右/煎茶「霜降」(1260円 *10月24日~11月7日発売)は、濃い口の香り高いお茶。

  • 甘味とコクのあるまろやかな「玉露 玉鳳(ぎょくほう)」。山本山こだわりの玉露を日本橋架橋100周年記念のパッケージにつめて。1050円

元禄3年(1690年)、山城国宇治山本村(現・京都南部)から上京した初代・山本嘉兵衛がお茶や茶器、和紙などを商う店を日本橋に構えたのが「山本山」のはじまり。

 当時、江戸市民は団茶と呼ばれる茶葉を蒸して丸めたものをお茶として飲んでいた。赤黒くて味も薄い、あまり美味しいお茶ではなかったとか。そこに京都の茶匠が手掛けた〝色沢鮮緑で香気馥郁たる上煎茶〟を「天下一」と名付けて売り出したところ江戸市民の賞賛を得、山本山の名が一気に江戸に広まったという。

 煎茶により茶道の茶席とは異なるお茶文化が生まれ、〝水茶屋〟と呼ばれる江戸のカフェブームにもつながった。日本橋川を船で行き交う人も山本山で「一服のお茶」を愉しんでいたことだろう。

 江戸っ子にお茶の愉しみを広めた山本山。さらに六代目は、煎茶に工夫を重ね、新しいお茶「玉露」を開発。甘美な風味が、諸大名をも虜にしてたちまち江戸の名物に。高級茶の代名詞〝玉露〟は、日本橋生まれなのだ。

 さて日本橋本店では毎朝、九代目・山本嘉兵衛が試して容認した茶のみ店に出すという。日本のお茶文化を牽引し続ける山本山の創業以来のしきたりである。

DATA
店名 山本山
住所 東京都中央区日本橋2-5-2 ※現在、「中央区日本橋2-10-2」にて仮店舗営業中
03-3281-0010
営業時間 10:00~18:00(11月、12月は 9:30~19:00) 年中無休
URL http://www.yamamotoyama.co.jp

※上記は取材時の情報です。現在は異なっている場合がございます。予めご了承ください。