日本橋スイーツ

口に入れた瞬間ふわりと広がる甘い香りが、ゆったりと心までほぐしてくれるスイーツ。バレンタインも間近の今月号では、老舗や近年オープンした新しいお店の中から、とっておきの和菓子、ケーキをご紹介します。自分へのご褒美や、大切な人への贈り物に、お気に入りを探してみてください。

2014年02月 【第40号】

日本料理店の料理人が生み出す大人のデザート

ラム納言 江戸っ米(えどっこ)ぷりん、東京駅八重洲口から徒歩3分の立地にある店舗

日本橋ゆかり 昭和10年(1935年)創業の日本料理店「日本橋ゆかり」は、彩り豊かな料理はもちろん、食後のデザートにも定評がある。現在プロデュースを担っているのは三代目の野永喜三夫さん。素材の良さを知る料理人だからこその視点から、これまで"ありそうでなかった"味を考案している。お酒にもよく合う和洋折衷のお菓子を、ぜひ一度味わってみてほしい。

写真上/北海道産のあかね大納言をラム酒「マイヤーズラム」で香り付けした『ラム納言』(1箱3,150円、大1個・小3個の小分け入り)。お茶はもちろん、お酒と一緒にいただくのもおすすめで、特にウイスキーやブランデーなど樽酒との相性は抜群。金の箔押しで店名が書かれた箱入りなので、贈り物にも最適。常温で3カ月もつのも嬉しい。

写真左/ジャージー牛乳やこだわりの卵、米など、東京産の原料のみでつくられたライスプリン『江戸っ米(えどっこ)ぷりん』(1個420円)。米粒が底に残っていて、もちっとした食感はリゾットのよう。ブランデーを少したらせば大人のデザートとしても(写真は「日本橋ゆかり」で注文した場合の盛りつけ)。

写真右/東京駅八重洲口から徒歩3分の立地にある店舗。モダンな和の意匠が凝らされ、東京建築賞も受賞。

日本橋ゆかり
東京都中央区日本橋3-2-14
TEL 03-3271-3436
営業時間...11:30~14:00(L.O.13:30)、17:00~22:00(L.O.21:30)
日曜・祝日休
www.nihonbashi-yukari.com

和菓子好きが通う隠れた名店

2月頃からつくられる季節の生菓子 黒まんじゅう、店内

ときわ木 昭和通りから少し奥まった場所にたたずむ「ときわ木」。清洲橋たもとの老舗和菓子店で番頭を務めた初代が明治43年(1910年)に創業し、現在は三代目の森宗一郎さんが製造を一手に担う。機械を使わず、朝3時からすべて手作業でつくられる和菓子は、どれも繊細な味わい。茶道の先生にも慕われ、100年以上に渡り磨かれてきた味を堪能したい。

写真上/2月頃からつくられる季節の生菓子。左から練り切りの『梅』(295円)、うぐいすきな粉のきんとん『若菜』(300円)。通年商品とあわせ、ラインナップは10種類前後ある。

写真左/創業時から通年販売されている『黒まんじゅう』(275円)。沖縄県波照間島の黒糖を加えて炊き上げたこしあんを薯蕷の皮で包み、ふっくらと蒸し上げる。上品な甘さとともに、黒糖の香りがふわりと口に広がる。

写真右/店内にショーケースはなく、差し出される3段の重箱に並ぶ商品見本を見て注文する。創業時から変わらない販売方法だ。「子どもや若い方など、和菓子を食べる機会の少ない人にもぜひ味わってほしいです」と三代目の森さん。

ときわ木
東京都中央区日本橋1-15-4
TEL 03-3271-9180
営業時間...9:30~17:30
土・日曜・祝日休

連日列をなす、人形町の定番おやつ

たい焼き 2.4kgもある型を複数使い、流れるようにテンポよく、一つずつ焼かれていく。

柳屋 東京のたい焼き御三家の一つに数えられる「柳屋」。製餡所に勤めていた初代が大正5年(1916年)に創業したのがはじまりで、当時と同じ形状の型、製法が受け継がれている。三代目の竹内彰一さんも職人として店に立ち、次々とつくられる『たい焼き』は、薄くてパリっと香ばしい皮と甘さを抑えた餡が特徴。思わず「もう一つ」と手を伸ばしたくなる味わいだ。

写真上/小豆は北海道産を使用。その年の出来具合を吟味し、道内で産地を変えているという。餡のつくり置きはせず、その日の朝につくったものが使われているため、小豆の風味が強い。1個140円。

写真左/2.4kgもある型を複数使い、流れるようにテンポよく、一つずつ焼かれていく。"強火で素早く"がコツで、1個焼くのに約3分かかるという。店頭にある焼き場で次々とたい焼きが出来上がる様子を見ることができる。

写真右/買い求める人が常に並んでいるが、夕方近くは比較的空いているそう。観光客はもちろん、スーツ姿の男性客が職場への差し入れとしてまとめ買いしていくことも。

柳屋
東京都中央区日本橋人形町2-11-3
TEL 03-3666-9901
営業時間...12:30~18:00
日曜・祝日休

国立市のファンも通うスイーツ好きの聖地

タルト・モンブラン 店内、テリーヌショコラ

ル・スーヴニールブラッスリーでありながら自家製ケーキが評判の「ル・スーヴニール」。国立市で24 年間洋菓子店を営んでいた葛西由利さんが、フランスの家庭料理も提供したいと考えてオープンしたお店だ。美味しさに関係しない素材は入れないという"引き算"の発想でつくられるケーキの数々は、いまでもスイーツ好きを惹きつけてやまない。

写真上/いちばん人気の『タルト・モンブラン』(480円)。ごろりと入っているイタリア産の渋皮付きの栗は、ラム酒の香りが控えめなのでケーキによく合うという。フォークがすっと入る柔らかいシュクレ生地の上にアマンドクリームの生地を重ね、上には栗のクリームが添えられている。

写真左/お客さんから「ほっと落ち着く」と評判の店内空間。奥にあるショーケースにケーキが18~20種類ほど並ぶ。夜に食後のデザートとしてケーキだけ食べに来る人も多いとか。閉店の23時まで購入できるのも嬉しい。

写真右/小麦粉をほとんど加えずにつくられる『テリーヌショコラ』(460円)。かりっとした生地の中から、とろりと濃厚なヴァローナチョコレートが溶け出して くる。今年はバレンタイン限定で、バラの飾りが施される。

ル・スーヴニール
東京都中央区日本橋2-2-16 共立日本橋ビルB1階
TEL 03-3231-7808
営業時間...11:00~23:00(L.O.22:00)
日曜・祝日休

焼き上がりと同時に売り切れるシュークリーム

シュークリーム お菓子やケーキがずらりと並ぶ店内

シュークリー 平成20年(2008年)オープンの「シュークリー」。看板商品である『シュークリーム』を買い求める人の行列は、一日3回の焼き上がり時間に必ず見られる光景だ。その他にもケーキや焼き菓子など、目移りしてしまうほど豊富なラインナップも魅力。日本橋の地名にちなんだお菓子やパッケージは、観光土産としても喜ばれそう。

写真上/ごつごつとした見た目が特徴の『シュークリーム』(220円)。サクサク食感のクッキー地のシュー皮にはオーナーが好きだというゴマがトッピングされ、たっぷり詰まったクリームは甘さ控えめ。焼き上がりは毎日9時半、12時、17時の3回で、15分前には並んでおいた方が良いとか。

写真左/オープン時からの商品をはじめ、現在二代目シェフを務める影山裕介さんが考案したお菓子やケーキがずらりと並ぶ店内。

写真右/冬期のみ販売されるショコラの詰め合わせ『ショコラ セレクト15』(3,400円)。パッケージもギフト向けで、他に5個入り、10個入りもある。お酒をほとんど使っていないので、アルコールが苦手な方や子どもにも最適。

シュークリー
東京都中央区日本橋人形町1-5-5
セントハイム人形町源1階
TEL 03-5651-3123
営業時間...9:30~19:00
日曜休(クリスマス・バレンタイン等除く)

組み合わせの妙"を楽しむ

アドー ル ショコラ ケーキは20 種類前後の品揃えで、季節によって入れ替わる

パティスリーISOZAKI 平成18年(2006年)に日本橋浜町にオープンした、ガラス張りで開放的な「パティスリーISOZAKI(イソザキ)」。「良い素材をどう組み合わせるかがすべて」というシェフパティシエの磯崎賢博さんがつくるのは、定番人気から 和テイスト、旬の果物が瑞々しいケーキまでさまざま。自分の、あるいは贈りたい相手の好きな一品にきっと出会えるはず。

写真上/バレンタインの時期に登場する『アドー ル ショコラ』(2,800円)。コロンビア産のカカオ分の高いチョコレートムースに、バニラのブリュレ入り。ビターで大人の味わいだ。※販売期間2月7日~2月14日(予定)

写真左/ちょっとした贈りものにぴったりの『焼きドーナツ』(各200円、写真はギフトボックス12 個入り2,820円)。一晩寝かせた生地をしっとりと焼き上げており、フィナンシェのような食感を楽しめる。

写真右/ケーキは20 種類前後の品揃えで、季節によって入れ替わる。その他、焼き菓子やマカロンなど、手土産に喜ばれそうなお菓子も充実。近隣のワーカーや地元の家族連れなど客層は幅広いという。

パティスリーISOZAKI(イソザキ)
東京都中央区日本橋浜町3-3-1
トルナーレ日本橋浜町1階
TEL 03-5643-7910
営業時間...10:00~20:00
不定休
www.p-isozaki.jp