素敵な大人時間

日本橋には上質な時間を過ごせる場所がたくさんあります。
普段訪れたことのない場所に出かけてみたり、新しいことにチャレンジしてみたり。
いつもと違う経験をすると、これまで知らなかった自分に出会えるかもしれません。
今回は、出勤前や仕事帰り、休日におすすめの“大人時間”をご紹介します。

2012年05月 【第19号】

重厚な空間で北斎の名品と出会う

三井記念美術館 三井記念美術館 重厚な佇まいの展示室

重厚な佇まいの展示室(写真は所蔵品の展示風景)。ミュージアムショップでは書籍やカタログのほか、所蔵品をモチーフにしたオリジナル商品が購入できる。

三井記念美術館 1929年に建てられ、国の重要文化財に指定されている三井本館。その中にある三井記念美術館は、竣工当時の内装を活かした格調高い展示室が特徴だ。現在は「北斎展」を開催中。富士山や日本各地を描いた代表作など160点余りが並び、北斎の魅力を存分に味わうことができる。浮世絵の名品を堪能した後は、ヘルシーなランチや和テイストの甘味がいただけるカフェで余韻に浸りたい。

東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
(隣接する日本橋三井タワー1階からエレベーターで入館)
ハローダイヤル 03-5777-8600
開館時間...10:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料...大人1,200円、大学・高校生700円、中学生以下無料
月曜休(4/30は開館)
www.mitsui-museum.jp

冨嶽三十六景 凱風快晴

冨嶽三十六景 凱風快晴
1830-1832年頃 横大判錦絵
Gift of James A.Michener,1970 HAA15583Photo: Tim Siegert
© Honolulu Academy of Arts
展示期間:前期(4/14-5/13)

特別展 ホノルル美術館所蔵
「北斎展」葛飾北斎生誕250周年記念
4月14日(土)~ 6月17日(日)
2010年に生誕250周年を迎えた葛飾北斎。同展は、アジア美術の収蔵で名高いホノルル美術館による大規模な北斎展だ。浮世絵を中心に160余点の作品が並ぶ。(入替え有)

ひととき深淵な世界と対峙する

ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 同作家はヤマサ醤油の創業家の出身。この建物は同社の倉庫を改装したものだとか。不定期で銅版画教室やイベントなども開かれている。

同作家はヤマサ醤油の創業家の出身。この建物は同社の倉庫を改装したものだとか。不定期で銅版画教室やイベントなども開かれている。

ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 浜口陽三は、20世紀を代表する版画家の一人。戦後いちはやくパリに渡り、銅版画の新しい技法であるカラーメゾチントを開拓した作家だ。同館では、幼少期から晩年までの作品を所蔵。闇の中に浮かぶ色と光を表現した、繊細で静謐な世界を堪能したい。併設するカフェでは、ヤマサの黒蜜風醤油を使ったアイスなどがいただける。現在開催中の名品展では、作品をイメージしたオリジナルケーキも企画(土日祝のみ・数量限定)。

東京都中央区日本橋蛎殻町1-35-7
TEL 03-3665-0251
開館時間...11:00~17:00(土・日曜・祝日は10:00~、入館は16:30まで)
入館料...大人600円、大学・高校生400円、中・小学生200円
月曜休(4/30は開館)
www.yamasa.com/musee

パリの屋根 1956年 カラーメゾチント

パリの屋根 1956年 カラーメゾチント

浜口陽三名品展 生まれ出ずる光 4月3日(火)~5月6日(日)
代表作である「パリの屋根」「くるみ」「14のさくらんぼ」など珠玉の作品約50点を展示。静物をモチーフとしながら、小宇宙を感じさせる作品には、無限の広がりと神秘的な世界が息づいている。

江戸東京博物館 開館20周年記念特別展

日本橋(夜明)川瀬巴水 昭和15年(1940)/江戸東京博物館蔵

日本橋(夜明)川瀬巴水 昭和15年(1940)/江戸東京博物館蔵

江戸東京博物館 日本橋~描かれたランドマークの400年~
5月26日(土)~ 7月16日(月・祝)
幕末の日本橋の北側半分を実物大で復元し、常設展示している江戸東京博物館で、特別展「日本橋.描かれたランドマークの400年.」が開催される。絵画を中心に写真など多彩な収蔵品で日本橋の歴史を紐解く展覧会。ちょっと足をのばして、日本橋の知識を深めてみてはいかが。

東京都墨田区横網1-4-1
TEL 03-3626-9974(代)
開館時間...9:30.17:30(土曜は~19:30、入館は閉館30分前まで)
観覧料...特別展専用券 一般1,000円、大学生・専門学校生800円、小学生・中学生・高校生・65歳以上500円
月曜休(7/16は開館)
www.asahi.com/event/nihonbashi400

ものづくりを通して生き方も学ぶ

辻村寿三郎 人形教室

「教えることで、私自身も教わっているんです」と語る辻村さん。人形は、蜷川幸雄演出の舞台作品「近松心中物語」に登場する「梅川」。

いまどきの女の子をイメージした「平成の娘たち」。

いまどきの女の子をイメージした「平成の娘たち」。この他、辻村さんの作品は、5目20日(日)まで目黒雅叙園「人形師辻村寿三郎×平清盛平家物語縁起」で鑑賞できる。

辻村寿三郎 人形教室 魂を吹き込んだかのような存在感、繊細かつ端正な作風で名高い、人形師・辻村寿三郎さん。人形制作のほか、着物や舞台・映画衣装のデザイン、アートディレクターなど幅広い活動を続けている。1996年、人形町に開館した「ジュサブロー館」を、この4月に「辻村寿三郎 人形教室」としてリニューアル。思いがけずここで、自らのクリエイティビティが開花することも......。新教室について辻村さんにうかがった。

技術が高まれば、感性も広がっていく
──ここではどんな人形を制作するのですか。
 1期目(授業6回分)は抱き人形を、2期目以降は衣装人形もつくります。最初に力量を見せていただき、教え方を決めていきます。各回定員10名で、人形づくりが初めての方もいれば、人形教室の先生もいらっしゃいます。北海道や四国など遠くから通ってこられる方も多いんですよ。

──人形づくりで大切なことは?
これまで各地で教えてきましたが、面白い作り手になりそうだなと思っても、技術が伴わないことが多かった。感性だけでつくっているんですね。でもサイエンス(技術力)がないとそれ以上は伸びない。自分も若い頃は感性でつくっていたけれど、ある時、それではダメだと気づいたのね。感性から技術は生まれてこないけれど、技術が高まれば、そのぶん、感性も広がっていくんですよ。
 人形にとっては表面全部が皮膚なんです。顔の表情や髪、衣装などすべてが、その人形のアイデンティティーになる。そう考えると、ちゃんとつくるのは大変なこと。技術もつけないと、せっかく習いにいらっしゃる意味がない。私自身もそのつもりで取り組んでいます。

毎日一つ、新しいことをやってみる
──まずは、考え方が大事なんですね。
そうですね。人生で考えてみてください。明日は、自分にとって初めて訪れる日でしょう。でも多くの人が今日と同じだと思っている。それではもったいない。簡単なことでいいから毎日、新しいことをやってみる。そうすると1年でどれだけ変われると思います? 人形づくりも同じこと。同じつくり方にこだわるのが個性だと思っている人がいるけれど、そうじゃない。繰り返しが楽なだけなんです。人形づくりも人生も同じ。毎日新しいことを続けていけば、自分のボキャブラリーが増えてパワーになる。気づいたら「あの人、素敵になったわね!」と言われるくらい変わっていくと思いますよ。

東京都中央区日本橋人形町3-6-9
TEL 03-3661-0035(水曜休)
授業日程...月1回10:30~16:30(木~日曜)/初年度入学金30,000円、授業料30,000円/回(1期分を初回に一括納入)、材料費ほか、詳しくは教室にお問い合わせを。
www.jusaburo.info

気軽に参加できる3講座で、知見を広める

軽食やお弁当が用意される場合が多く、リラックスした雰囲気が漂う。特にお酒に関連した講座は人気が高く、応募者多数の場合は抽選となる。

軽食やお弁当が用意される場合が多く、リラックスした雰囲気が漂う。特にお酒に関連した講座は人気が高く、応募者多数の場合は抽選となる。

日本橋髙島屋・都未来さん、野瀬晴美さん

日本橋なでしこ講座昨年9月より、日本橋髙島屋でスタートした「日本橋なでしこ講座」。月に1~2回、平日夕刻以降に店内で開催されている。「おいしいお茶のいれ方」「ワインとチーズのマリアージュ」「初めてのきもの講座」など、20~40代に合わせたテーマが特徴。講座の前後に買い物もでき、仕事帰りの女性にぴったりだ。

日本橋髙島屋 日本橋なでしこ講座
講座についての情報、お申し込みはWEBサイトで。
www.takashimaya.co.jp/tokyo/nadeshiko
(問)TEL 03-3211-4111
(受付時間10:00~18:00、水・日曜を除く)

「日本人女性として知っておきたい知識や文化、季節に関連した事柄やトレンドがテーマ。皆さまのお声も反映しています。夏には浴衣の楽しみ方や、ビアガーデンを使った講座を計画中です」(日本橋髙島屋・都未来さん、野瀬晴美さん)。


立ち見が出るほど賑わう会場のWIRED CAFE NEWS(日本橋三井タワー2階)。

立ち見が出るほど賑わう会場のWIRED CAFE NEWS(日本橋三井タワー2階)。

アサゲ・ニホンバシ 日本橋ワーカーの出会いの場として誕生した「アサゲ・ニホンバシ」。伝統を受け継ぐ老舗企業と、次世代を担うクリエイターやベンチャー企業をゲストスピーカーに迎え、日本橋について考えながら親睦を深める朝の交流型勉強会だ。「日本橋ワーカーが楽しめるアイディアを出していきたい」(日本橋フレンド代表・川路武さん)。日本橋で新しい人の輪が広がり始めている。

アサゲ・ニホンバシ実行委員会(日本橋フレンド内)
毎月第3週目に実施。当日受付、料金500円(フリードリンク)。別途購入で朝餉(アサゲ)もいただける。
告知はWEBサイトとFacebook。
www.nihonbashi-tokyo.jp/asage
www.facebook.com/asagenihonbashi2012
(問)asagenihonbashi@gmail.com


日本橋案内所 ワークショップ

「5月、6月は合羽摺り(ステンシル)です。福を呼ぶ縁起物の柄を、お好きな色で作ってみませんか?」(日本橋案内所・町田直子さん)

日本橋案内所 ワークショップ 日本橋案内所では、老舗企業と協力し、ワークショップを実施している。最近では小津和紙とコラボレーション。合羽摺り(ステンシル)の葉書やポチ袋づくり、ご祝儀袋の宛名書きなど季節ごとに内容は変わる。いずれも知っていると嬉しい技や知識ばかりだ。ちょっとした空き時間に「和の体験」をしてみては。

コレド室町インフォメーション 日本橋案内所
東京都中央区日本橋室町2-2-1 コレド室町地下1階
事前予約はTELにて。空きがあれば当日受付も。
(問)TEL 03-3242-0010(11:00~20:00)
www.nihonbashi-tokyo.jp/information_center