日本橋流、新生活

春は始まりの季節。
この4月から社会人デビューする方、新生活をスタートさせる方も多いことでしょう。
そこで今回は“日本橋流、新生活”をテーマに、知っていると便利な場所や、
ほっと寛げる空間、魅力的なアイテムをご紹介します。
今回の案内人は、日本橋の情報発信スペース「日本橋案内所」の橋本詩音さんです。

2012年04月 【第18号】

身だしなみは、足もとから

おすすめのケアアイテム。

おすすめのケアアイテム。
左上/埃取り用の馬毛ブラシ1,050円。
左下/クリームを全面に伸ばす豚毛ブラシ420円。
右上/クリームを細部に塗り込むミニブラシ735円。
右下/ヴィオラ靴用クリーム・黒630円。

左/確かな技術を持つスタッフが、大切な靴を再生させてくれる。右/初めてでも入りやすい明るい店 インソールやシューキーパー、靴クリームのカラーも多数揃っている。

左/確かな技術を持つスタッフが、大切な靴を再生させてくれる。
右/初めてでも入りやすい明るい店構え。
下/インソールやシューキーパー、靴クリームのカラーも多数揃っている。

COREDO室町インフォメーション 日本橋案内所 橋本詩音さん

時間がない方にはこちらもおすすめ。シュッとスプレーして、布で拭き取るだけで見違えるほどツヤが出ます。ヴィオラ・ツヤ出し栄養スプレー(1,050円)。

お手入れされた靴は、履いていても見ていても気持ちがよいもの。中央通りにある靴と鞄の修理専門店、オレンジヒールでは、さまざまなメンテナンスに対応している。例えばソール(靴底)交換。踵や前面部のみの張り替えのほか、ソール全面交換や靴全体のクリーニングまで取り扱う。「靴はメンテナンス次第で長く履けます。まずは自宅でのお手入れを」と、店長の村上公逸さん。おすすめのケアは4ステップ。馬毛ブラシで埃を取り、ミニブラシで靴クリームを塗って、豚毛ブラシで均一に伸ばした後、着古したTシャツなど柔らかい布で磨く。これで見違えるように綺麗になるという。雨の日は防水スプレーをかけて、帰宅後はドライヤーの低温で乾かすのがよいとか。鞄の持ち手修理も行っており、いざという時に頼りになるお店だ。

オレンジヒール 日本橋店
東京都中央区日本橋2-2-8 東京風月堂ビル1階
TEL 03-6214-3373
営業時間...11:00~20:00
年中無休(年末年始を除く)
www.orange-heal.com

お気に入りの革小物を見つける

多彩な品揃えの書籍はもちろんのこと、歴史ある丸善ならではのセレクトアイテムも魅力

上/日本で唯一の馬具メーカー、ソメスサドルのペンケース2,730円(全4色)。
下/英国製ブライドルレザーを使用した薄型胸ポケット財布9,450円(全5色)。札入れ、コインケース、カード入れ、パスケースのほか3ポケットつき。

半田昌紀さん

Mr.丸善こと勤続21年目、文具担当の半田昌紀さん。「気に入ったアイテムを身につけると仕事のモチベーションも上がります。徐々に自分らしいスタイルを見つけてください」。

日本橋ワーカーの強い味方、丸善。多彩な品揃えの書籍はもちろんのこと、歴史ある丸善ならではのセレクトアイテムも魅力だ。「素材に重点を置いている」という革製品のラインナップは、手の届きやすい価格から揃っている。三つ折りのコンパクト財布は、胸ポケットにすっきりと収まりスマート。ミニマムなスタイルを好む人にぴったりだ。またこの時期は、就職祝いに贈られた筆記具を入れるため、新しくペンケースを買い求める人も多いのだとか。小さいながらも3.4本収納できるソメスサドルのペンケースは、色展開も美しい。かさばらないので、荷物を減らしたい女性にもおすすめの一品。

丸善・日本橋店
東京都中央区日本橋2-3-10
TEL 03-6214-2001
営業時間...9:30~20:30
不定休
www.maruzen.co.jp

使うほどに味わい深まるステーショナリー

3サイズ展開のNotebookWheel Printed CoverA5 3,150円、A6 2,100円、A7 1,575円

3サイズ展開のNotebookWheel Printed CoverA5 3,150円、A6 2,100円、A7 1,575円。

左/文庫本を大切に守ってくれるBook Cover 9,240円(全8色)。ベースは圧縮コットンで、傷みやすい背表紙とへりの一部は革製で強度をもたせている。 右/A4サイズのSnap Padは 3,990円。パチンと留まる音が小気味よい。ほかにA5サイズ 2,940円も(各4色)。

左/文庫本を大切に守ってくれるBook Cover 9,240円(全8色)。ベースは圧縮コットンで、傷みやすい背表紙とへりの一部は革製で強度をもたせている。
右/A4サイズのSnap Padは 3,990円。パチンと留まる音が小気味よい。ほかにA5サイズ 2,940円も(各4色)。

ポスタルコの世界観が凝縮された店内。オリジナルアイテムのほか、マイクさんが選んだ文具やカード類も並ぶ

ポスタルコの世界観が凝縮された店内。オリジナルアイテムのほか、マイクさんが選んだ文具やカード類も並ぶ。

COREDO室町インフォメーション 日本橋案内所 橋本詩音さん

橋本さんが考えた活用法。「日本橋案内所では、日々入ってくる情報を連絡ノートに書いてスタッフ間で回覧しているんです。このスナップパッドを使えば、ミスコピーがノート代わりになるし、一緒にイベントのチラシなども綴れるし、便利ですね」。

昔懐かしいビルの4階に秘密基地のように存在するポスタルコ。マイク・エーブルソンさんと友理さん夫妻がデザインする革製品やステーショナリーブランドのお店だ。どの製品も控えめでさりげない佇まいだが、極めて使い勝手がよい。写真のスナップパッドは、失敗したコピーの裏紙を挟んで活用できる優れもの。「何かを書く時、記録として残したいものもあれば、アイデアやTo Do Listのようにメモ感覚で書き留めるものもありますよね。シチュエーションに合わせて、ノートと裏紙を使い分けられればという思いからデザインされています」と友理さん。とじ具に紐を通して壁に掛けたり、プレゼンテーション用のカバーとして使用する人もいるとか。新作のウィールプリンテッドノートは、オリジナルノートの表紙に、手製の印刷機を用いて、車輪跡のような模様をプリントしたもの。世界に一つだけのデザインを手にすることができる。

POSTALCO
※渋谷に移転
www.postalco.net

気持ちがリセットできるカフェ

「紅」のロゴがかわいい看板が目印。建物の正面と、脇の細い路地を入った2 箇所に入口がある。

「紅」のロゴがかわいい看板が目印。建物の正面と、脇の細い路地を入った2 箇所に入口がある。

日替わりランチ

日替わりランチの鶏ひき肉を使った紅風・豆腐とほうれん草入りキーマカレー1,000円。小鉢とお味噌汁、お漬け物のほか一口スイーツがつく。ご飯は時期によって替わり、写真は黒豆ご飯。

家具や照明も鍋島さんが一つひとつ選んだもの。古い旅館の食器棚の扉をリメイクしたという座卓が印象的。作家ものの雑貨も販売している。右下/庭に面したひとり席。いまでは珍しい波板ガラスがはめ込まれた窓からは、

家具や照明も鍋島さんが一つひとつ選んだもの。古い旅館の食器棚の扉をリメイクしたという座卓が印象的。作家ものの雑貨も販売している。右下/庭に面したひとり席。いまでは珍しい波板ガラスがはめ込まれた窓からは、"紅しだれ"という品種の紅葉が見える。

小伝馬町にあるcafe紅は、靴を脱いでくつろげる古民家カフェ。趣きのある家屋は、かつてガラス屋さんとして使われていたのだとか。座敷の奥には坪庭があり、景色を眺めながら静かに食事やお茶が楽しめる。「忙しい女性がリラックスできる空間にしたいと考えています。ひとりの時間を楽しんだり、気持ちの整理ができるカフェがあってもいいかなと思うんです」と語るのは、オーナーの鍋島ともみさん。店内には時計もなく、全席が禁煙。ストレスになるものを極力排除している。終日オーダーできるフードメニューのほか、パティシエがつくる和を意識したスイーツが人気。オーガニックのブレンドコーヒーや台湾紅茶、ハーブティーなども女性好み。日常の慌ただしさを忘れさせてくれる場所だ。

cafe紅(もみ)
東京都中央区日本橋小伝馬町8-5
TEL 03-3664-3908
営業時間...火曜~木曜 11:30~20:00
金曜 11:30~21:00、土曜 12:00~18:00(閉店30分前 L.O.)
日曜・祝日・月曜休
www.momicafe.com

一杯の珈琲が教えてくれる贅沢な時間

カウンターの後ろにはさまざまな銘柄のカップが並ぶ。「ぜひあのカップで」とリクエストするお客さまも多いとか。

カウンターの後ろにはさまざまな銘柄のカップが並ぶ。「ぜひあのカップで」とリクエストするお客さまも多いとか。

ケーキセット 額に入った写真はオーナー自ら撮影したもの。日本橋の街の風景が新鮮なアングルで捉えられている。

右上/ケーキセット(アイスクリーム添え)は1,000円。写真はレアチーズケーキ。アプリコットゼリーの酸味がクリームチーズを引き立て、さっぱりとした味わい。コーヒーによく合う。
右上/バウハウスの建築を思わせるモダンな外観。
下/額に入った写真はオーナー自ら撮影したもの。日本橋の街の風景が新鮮なアングルで捉えられている。

ブラウンと白を基調にした温かな雰囲気の店内。カウンターごしに、一杯ずつ丁寧にコーヒーが淹れられる様子が見える。苦みと酸味のバランスが程よい炭火焙煎のブレンドは700円。オーナーの竹内幸男さんによれば、「お客さまの要望を聞きながら辿りついた味」なのだとか。ブラジル、コロンビア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン豆を合わせたものだという。3種類ほど用意されているケーキも竹内さんの手づくり。ベイクドチーズケーキは、小麦アレルギーの方も食べられるようにと小麦粉の代わりに米粉を使っている。コーヒーの豊かな香りとともに、ゆったりとした時間を楽しみたい。

かうひい屋
東京都中央区日本橋堀留町1-8-6
TEL 03-3661-0509
営業時間...9:00~19:00(L.O.)
日曜・祝日休

オンでもオフでも使い勝手がいいお店

アサイーボウルセット

朝食でおすすめなのは、アサイーボウルセット。もともとハワイの人気メニューで、アスリートやモデルのファンも多いのだとか。スーパーフルーツと呼ばれる栄養価の高いアサイーに、バナナやアイスクリームを加えてスムージーにしたもの。ドリンク付きで580円。

明るい店内には、一人でも気楽に使えるカウンター席の他、ゆったり寛げるソファー席や、軽い打ち合わせができる丸テーブル席もある。 食べ応えのあるチーズドッグセットも人気。ドリンク付きで580円。

上・右下/明るい店内には、一人でも気楽に使えるカウンター席の他、ゆったり寛げるソファー席や、軽い打ち合わせができる丸テーブル席もある。
左下/食べ応えのあるチーズドッグセットも人気。ドリンク付きで580円。

無線LANと人気のタブレット型端末が自由に使えるブックシェルフ カフェ。仕事の合間にちょっと調べものをしたり、一息入れたりするのに便利だ。ネット環境だけでなく、メニューにも力を入れている。フードメニューに使われる野菜は自家栽培の無農薬野菜、コーヒーは愛好家から支持の高い堀口珈琲の豆を使用している。「コーヒープレスでお出ししています。雑味が出やすい手法で、厳選された珈琲豆だからこそできるサービスなんです」と説明してくれたのは、店長の若林俊男さん。この界隈では珍しく早い時間から開いているため、朝食を摂るオフィスワーカーも多い。ランチはもちろんのこと、仕事帰りに地ビールを味わうのもいいだろう。リーズナブルな値段で貸切にも対応しているので、仲間同士のちょっとした集まりにも使える。春からはiPadで日経新聞も読める。

BOOKSHELF CAFE
東京都中央区日本橋浜町2-35-4
日本橋浜町パークビル1階
TEL 03-5614-0241
営業時間...月曜~金曜 7:30~21:00
土曜 10:00~18:00(閉店30分前 L.O.)
日曜・祝日休
www.bookshelfcafe.jp

【日本橋豆知識】知っているようで知らない、この街生まれのヒット文具

ぺんてる筆(ぺんてる株式会社) 宛名書きに欠かせない筆ペン。日本ならではのこの商品が生まれたのは昭和51年(1976年)のこと。サインペンの普及により筆記具が大きく変わりつつあった昭和30年代に、「日本独自の筆文字を大切にしたい」という創業者の思いから商品化が進められた。開発者が筆職人に弟子入りし、天然毛筆と変わらない書き味を追究。改良を重ねた末、当時としては画期的な合成繊維を用いた「ぺんてる筆」を完成させた。以来、祝儀袋やのし紙、絵手紙、年賀状と幅広いシーンで愛されているヒット商品だ。

ぺんてる筆(ぺんてる株式会社)

エリートS(パイロットコーポレーション) 大正7年(1918年)に日本橋西河岸で創業したパイロット萬年筆(現・パイロットコーポレーション)。昭和43年(1968年)に発売した「エリートS」は、進学祝いなどで万年筆を贈るのが一般的だった当時、大橋巨泉さんが登場するTVCMの効果もあって瞬く間に人気商品に。CMの中のナンセンスなフレーズ「みじかびの キャプリてとれば すぎちょびれ、すぎ書きすらの ハッパフミフミ わかるね!」は、ベテランオフィスワーカーの方々には懐かしいのでは? ジャケットの内ポケットに収まりやすいサイズと滑らかな書き味によって、復刻版を期待する声も高い。

エリートS(パイロットコーポレーション)

今回の案内人

COREDO室町インフォメーション 日本橋案内所 橋本詩音さん

COREDO室町インフォメーション 日本橋案内所
橋本詩音さん
橋本さんが勤める日本橋案内所は、"おもてなしの街・日本橋"のコンシェルジュとして、旬な情報をタイムリーにお届けする情報発信スペース。「老舗や名店の逸品も取り扱っていますので、ちょっとしたお土産探しにもぴったりです。ぜひ、お気軽にお立ち寄りください」。