日本橋の七福神めぐり

七つの福運にあやかろうと室町時代に発祥した七福神めぐり。
日本橋にある七福神は、全国でも珍しい神社のみで構成され、気軽に小一時間でまわれるパワースポットとして人気を集めています。
その神社が集う日本橋人形町界隈には、名菓を扱う老舗や飲食店が数多く軒を連ねるため、参拝客の中には、恒例行事のように親子三代そろって街の味を堪能しながらめぐる姿も。 今号では、一年の感謝と、新年への願いをこめてめぐる日本橋七福神と、日本橋人形町の魅力のひとつである名菓をご紹介します。

2012年01月 【第15号】

餡好きにはたまらない売切御免のどら焼き

小判どら焼き

小判といっても餡がぎっしりで大満足の逸品。オリジナルの大福帳箱は、めでたい席の贈り物やお土産に喜ばれる。小判どら焼き168円(3個入大福帳箱609円)
※事前予約可能(前日までが望ましい)

清寿軒 文久元年(1861年)創業。150年に渡り受け継がれた手法と、純度の高い原材料にこだわる和菓子専門店。
看板商品の「小判どら焼き」は、小判型の一枚皮に丸々とした餡が挟まれており、餡の食感や風味を楽しみたい方に最適。防腐剤などの添加物を使用していないため、後味のよい上質な甘さを堪能できる。年末限定受注の「栗きんとん」もお薦め。

東京都中央区日本橋堀留町1-6-1
TEL 03-3661-0940
営業時間...9:00 ~17:00(どら焼きが売り切れ次第終了)
土・日曜・祝日休(年末年始1/1~9休)
mpn.cjn.or.jp/mpn/contents/00002083/page/cp_top.html

口の中でとろける甘さとほろ苦さ

黒生どら焼き

和と洋が融合するだけでなく、素材も絶妙なバランスで調和し、ソフトな口当たりがやみつきになる。黒生どら焼き220円(5個箱入1,100円)

日本橋日月堂 明治10年(1877年)創業。長年受け継がれた技と、新しい発想で生み出される商品の数々は、迷うほど種類が豊富。中でも「黒生どら焼き」は、コーヒーの濃厚エキスを練りこんだ皮に、自製の小倉餡と、コクのある風味豊かな生クリームがふんわりとやさしい甘さで、男女問わずファンが多い。年末年始には、七色の彩りが美しい「七福神羊羹(9個入1,450円~、バラ売り1個150円)」を発売予定。

東京都中央区日本橋小舟町12-14 日月堂ビル
TEL 03-3661-5470
営業時間...10:00~19:00(土~15:00)
日曜・祝日休(年末年始12/31~1/3休)
nitigetudou.com

梅のほのかな酸味と風味が愉しい和のスイーツ

太郎梅3個箱入

元呉服問屋の店内は独特の趣きがあり、お茶と太郎梅のセット(700円)もいただける。太郎梅3個箱入1,575円
※お食事・お持ち帰りいずれも要予約

江戸八珍 凡味 昭和55年(1980年)創業。懐石料理のお店が出す「太郎梅」は、江戸時代の製法で作られている伝統のひと品。大ぶりな紀州の南高梅から塩分と酸味を抜き、煮崩れないように砂糖蜜で煮たものを冷やしていただく。手間ひまをかけた贅沢な逸品は、熱いお茶との相性はもちろん、料理の箸休めやお酒のつまみにもなる。とろける舌触りと、生胡麻の旨みが堪能できる胡麻豆腐も人気。

東京都中央区日本橋人形町2-32-3
TEL 03-3669-4671
営業時間...11:00~22:00 不定休
※懐石料理(7,000円 税・サ別)は3日前までに予約

ニッキの香りが思い出を繋ぐ伝統生菓子

黄金芋

ほっくりした餡はなめらかで、割っても焼き芋らしい色つやに熟練の技が光る。大量購入する方も多く、店内には値段の早見表も。黄金芋190 円(5個入950円)

壽堂 明治17年創業(1884年)。製造から包装までのほとんどを手作業で作る「黄金芋」は、100年以上経ったいまも変わらない。郷愁を誘うニッキの甘い香りは、店頭にまで漂いでて通行人を誘う。焼き芋そっくりの皮の中には、白餡に卵黄を混ぜた黄身餡がたっぷり詰まり、優しい甘みが口の中に広がる。毎年、年末年始には新年の干支にちなんだ和菓子も販売。

東京都中央区日本橋人形町2-1-4
TEL 0120-480-400
営業時間...9:00~21:00(日祝~18:00)不定休

創業者秘伝の風味豊かな濃厚プリン

人形町風鈴と詰め合わせの人形町小町

人形町風鈴と詰め合わせの人形町小町は、江戸風ぬれ甘納豆の上品な甘さが特長で、お年賀にも。6個入り1,500円。お召し上がり用は「ゴールド人形町風鈴あんみつ」950円

江戸甘味處 水天宮つくし 明治10年(1877年)創業の菓子匠で、水天宮招福赤飯で知られる老舗。「人形町風鈴(ぷりん)」は初代鷺谷米蔵氏が残したレシピ『初代米蔵秘伝帳』の中にあった"西洋風茶碗蒸し菓子"を再現したもの。原料の牛乳・卵・砂糖は最高級の材料を厳選し、カラメルソースもつくし独自の製法で作られている。卵の風味豊かでコクがあり、後をひく味わいが印象的。

東京都中央区日本橋人形町2-1-12
水天宮つくしビル1F
TEL 03-3664-7357
営業時間...8:00~20:00
日曜休(戌の日・大安・5日は営業)

日本橋七福神は八社九神のご利益!

日本橋の七福神めぐり 七福神とは、恵比寿神・大国神・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老神・布袋尊の七つの福の神を指し、恵比寿神は商売繁盛、弁財天は技芸上達、というようにそれぞれ司るご利益があります。 日本橋の七福神は、弁財天と恵比寿神がそれぞれで祀られているので、全部で八社九神を巡拝して、ご利益にあやかることができます。お参りをする際は" 二拝二拍手一拝"の作法で。ご朱印とご神像の授与は1 月1 日~ 7 日まで(神職不在の茶ノ木神社は水天宮で、恵比寿神のご神像は椙森神社で授与)。ご朱印色紙(2,000円)、宝船(3,700 円)ともに全社揃いのものも購入可能。
(問)日本橋七福会・総務・小網神社 TEL 03-3668-1080
今年お薦めするコースはこちら!

今年お薦めするコースはこちら! 「巡拝の順序は自由ですが、今号では七福神とご紹介する名店を軸に、日本橋人形町の魅力をより堪能できるコースをご案内します。

1.水天宮【弁財天】

1.水天宮【弁財天】
ご利益= 技芸上達・福徳自在
安産祈願の神社として有名な「水天宮」。こちらには弁財天の御社があり、有馬頼徳公が加賀の前田公と芸を競った際に弁財天に願をかけて勝ったという伝説から、技芸上達・福自在のご利益があるといわれています。

2.松島神社【大国神】

2.松島神社【大国神】
ご利益=五穀豊穣・開運招福
「大黒様」「大黒天」とも呼ばれる大国神は、愛嬌のある福徳相が多く、五穀豊穣・開運福を司ることから庶民的な神様として愛されています。11月には"酉の市"で賑わい、お正月は小さな破魔矢がついたおみくじや招福の縁起ものも人気です。

3.末廣神社【毘沙門天】

3.末廣神社【毘沙門天】
ご利益=勝運除災・営業繁栄
地主神、産土神として400年以上前から信仰を集める末廣神社。祀られている毘沙門天は、勝運除災の神として知られる一方で、右手に持つ多宝塔により、限りない財宝を与える営業繁栄の神様としても広く崇められています。

4.笠間稲荷神社【寿老神】

4.笠間稲荷神社【寿老神】
ご利益=長寿延命・導きの神
日本三大稲荷のひとつである、茨城県笠間市にある笠間稲荷神社の東京別社として江戸時代に建立。祭神はすべての食物を司る宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)で、昭和51年(1976年)に末社に祀られた長寿神は、長寿延命、人々の運命を導く神として親しまれています。

5.椙森神社【恵比寿神】

5.椙森神社【恵比寿神】
利益=商売繁盛・交通安全
江戸時代、柳森、鳥森とともに江戸三森の一つに数えられ、福徳・商売の神として庶民の信仰を集めた椙森神社。人々が参集することから、江戸時代に富興行(現在の宝くじ)が催され、その記念として建てられた冨塚碑がいまも残されています。

6.寶田恵比寿神社【恵比寿神】

6.寶田恵比寿神社【恵比寿神】
利益=商売繁盛・交通安全
寶田恵比寿神社の恵比寿神は、商売繁昌、家族繁栄、火防の守護神として、参拝者は広く関東一円におよぶという。毎年10月19・20日に開催される"べったら市"では、恵比寿講(商家で恵比須をまつり、親類・知人を招いて祝う行事)にお供えするべったら漬の露店が並ぶなど、商家とは深い縁があります。

7.小網神社【福禄寿・弁財天】

7.小網神社【福禄寿・弁財天】
利益=強運厄除・財運向上/病気平癒・健康長寿
病気平癒・健康長寿 日本橋七福神の事務局であり、強運厄除の総本社として知られる小網神社は、約550年前の文正元年(1466年)から鎮座する古社。5月の大祭では東部有数の神社大御輿で賑わい(5年ごと)、11月にある"どぶろく祭"は奇祭として有名です。

8.茶ノ木神社【布袋尊】

8.茶ノ木神社【布袋尊】
利益=未来予知・金運の神
水天宮にほど近い住宅街にある茶ノ木神社は、かつて神社を囲む茶の木の緑が見事だったことから、"お茶の木様"という名で親しまれていました。毎年5 月、八十八夜にあたる日には新茶を祝う"献茶祭"が開かれます。


めぐり、めぐる、日本橋

めぐり、めぐる、日本橋 七福神めぐりは、もともと江戸時代に太田蜀山人ら文人墨客(詩文や書画を嗜む風流人)が、向島の百花園を中心にして七福神を祀る社寺を作り、正月にそれを巡るようになったことが起源と言われています。 そのため、初詣を兼ねて新年に訪れる方が多いですが、巡拝する時期に決まりはありません。今年1年の感謝をこめて年の瀬にめぐるもよし、夢をかなえるために願をかけて歩くもよし。日本橋では、12月27日(火)~ 29日(木)に開催される「薬研堀不動尊 納めの歳の市&大出庫市」と合わせて、「納めの七福神めぐり」というツアーが企画される他、同じく12月27日(火)から始まる「年の瀬・年初め日本橋2011-2012『日本橋かるた まちめぐり』」と題した催しでは、日本橋かるたの絵札を使った"めぐり札"が日本橋エリアの各所に設置されます。
めぐり札にはいくつかの種類があり、期間限定配布で、無くなり次第終了となります。七福神めぐりにまつわる読み句を掲載しためぐり札もありますので、巡拝しながら集めてみませんか?