雨水(うすい)・啓蟄(けいちつ)

2018年03月【第89号】
  • illustration Yayoi Kamiguchi

 立春が過ぎると、暦の上ではもう春。水仙の花が香り立ち、冷たい風が吹く街でも、かすかに春の光を感じるようになる。
 2月19日頃は二十四節気で「雨水」。雪が雨に変わり、氷がとけ始める頃を意味している。この時季は春霞がたなびく頃でもある。薄ぼんやりとたなびく霞と、目の前に深く立ちこめる霧。古くから人々は春には霞といい、秋には霧と呼び分けてきた。春一番が吹く頃でもあり、寒い日と暖かな日を繰り返しながら、気温は少しずつ上昇していく。奈良の若草山や京都の大原、山口の秋吉台などでは春の野焼きが行われる。

 3月6日頃は二十四節気で「啓蟄」。“啓”には開放するという意味があり、“蟄”には虫たちが冬ごもりするという意味がある。土の中に眠っていた虫たちが活動を始める頃をさす。山裾や沢沿いでは、わらびやぜんまいなどの山菜が芽を出す。白梅、紅梅が咲き、続いて桃のつぼみがほころび始める。本格的な春の到来ももうすぐだ。